承和4年(837年)に潟山が大爆発して温泉が湧出したとの記録がある鳴子温泉が温泉宿として賑わいだしたのは江戸中期の頃だそうです。源義経がこの地を平泉に逃れる途中に通ったという伝説があり、旅の途中に産まれた義経の子が産声をあげた啼子(なきこ)が転じて鳴子になったという伝説があります。
鳴子温泉はこけしの里としても知られ、首を回すとキュキュッと音がするのが鳴子スタイル。そんな鳴子を散策しながら、街の共同浴場「早稲田桟敷湯」の湯を頂きました。
古い町並みが残る鳴子には少し違和感を感じる近代的な佇まい。共同浴場というよりもほぼほぼ美術館であります。
フロントもほぼほぼ美術館。木造トタン屋根だった湯小屋が、映画「アルマゲドン」のテーマソング、エアロスミスの"I Don't Want to Miss a Thing"が巷で大ヒットを飛ばしているさなか、早稲田大学石山修武研究室設計のほぼほぼ美術館な佇まいに改築されたのであります。しらんけど~。
学生たちの頑張りを支えたのが、鳴子の人々だったそうです。戦後間もなく若い人たちが少なくなった鳴子に頑張る学生たちの姿に活気がもどり、その感謝の気持ちが食糧難にも関わらず、白米の弁当、おやつなどの差し入れが彼らのモチベーションにつながったそうです。
ウォーター・スライダーのような湯口が3台並ぶ浴槽は2槽に別れ、左がかなり熱め、右が適温よりやや熱めといった感じ。ほぼほぼ透明な湯は人肌と同じ弱酸性で肌に沁み入るような浴感があり、しっかりと硫化水素臭があります。
泉質は含食塩・芒硝-硫黄泉。温まり、保湿、血行促進が期待できる素晴らしい泉質であります。ウォーター・スライダー内では白い湯花が貼り付いています。
身を沈めて見上げるとこの眺め。外観と同じく黄漆喰塗りの天井の高い湯殿であります。床から3メートルほどの高さまでが鉄骨が組まれ、それより上は木造になっているそうです。
館内には改築の際に出た端材を使って造られたという、ユニークなベンチが点在。
浴後、小腹が空いたので、深瀬さんの栗団子を購入。コロナ禍でイートインが出来ず、近くのベンチに腰掛けてふたつばかりを頬張る。ぽってりとやさしい甘さの栗団子にひとり悦に入ったのであります。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2021年11月)
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