宮城県栗原市の旧花山村は秋田県に通じる花山越えの入口であったため、江戸時代には、往来する人と荷物の検問が行われてきた関所、「仙台藩花山寒湯番所跡」があります。そして御番所を往来する旅人たちの疲れを癒してきた花山のいで湯が「温湯温泉」であります。
古くは「寒湯」で、ぬるゆと読んでいましたが、近代では源泉の温度が上がり「温湯」の表記になったとか。栗駒連峰の南麓、一迫川の上流部の渓谷地に湧く温湯温泉に12年ぶりに営業を再開した宿、佐藤旅館の湯を紹介します。
昭和初期に建てられたという木造二階建ての宿は、古き湯治宿の趣であります。
震災で傷んだ箇所なのでしょうか、床板やサッシが綺麗に張り替えられているようです。古い木造の趣を残しつつの修繕には大変なご苦労があったかと思われます。廊下に並ぶレトロな紅いソファーも申し分ない納まりです。
広々とした浴場の天井はV字型というおもしろい空間。タイル張りの湯殿の正面は石積みがされるなど、意外と凝った造りであります。
湯面からはリッチー・ブラックモアのあのリフが聴こえてくるかの如く、湯けむりが上がっていました。クリアな食塩泉に身を沈めると、数秒で汗が吹き出すほど。あたたまりの速さはスピード・キング。まさにディープ・パープルな湯であります。
浴後はステージを備えた大広間で休憩も可能。冷水などの用意もあり、有難く頂きました。
震災以前、利用可能だった露天風呂「御番所風呂」の風格ある小屋も健在。
湯は張られていませんでしたが、復活予定もあるとか・・・。
むくりの破風がついた中庭への入り口にも伝統建築の粋を感じます。復活より1年以上経過していますが、ずっと復活を楽しみにしていた宿だったので、「ありがとう」の一言に尽きます。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2021年11月)
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