前項に引き続き、志賀高原の熊の湯ホテルをお送りいたします。日本の国道の最高地点(2172m)がある国道292号線の「志賀草津高原ルート」は長野県側の志賀高原と群馬県の草津温泉を結ぶ高原ルートで、冬期は雪のため通行止めとなる。志賀高原や白根火山などの2000m級の山々が連なるこの地は国立公園に指定され、スキーやトレッキングの基地として賑わっている。
そんな志賀高原の熊の湯温泉は歴史が古く、与謝野晶子ら文人墨客にも愛された湯だそうです。現在のホテルの中庭から湧き出る湯は、浴槽でクリアな緑色に変化する珍湯なのです。
前項で紹介した檜をふんだんに使った内湯から露天風呂に抜けることができる。
庭園風の石組みされた湯壺には少し違和感のある湯色だが、木々に囲まれ、前方の三段の滝を愛でるキモちE露天。
訪問時の9月末は徐々に白樺やナナカマドが秋色に色づき始めていました。
丸太の湯口からはふんわりと注がれ、42℃ほどに調節された内湯よりもぬるめで長湯向き。
湯壺のへりにある木枕を首裏にあてがって、でろーんとアホ面で空を見上げて浸かっていると、得も言われぬ幸福感に包まれます。嗚呼・・・。
夜は標高の高さ故のキラキラ星で、この夜は木々の隙間から満月をも観ることできました。
食事は1F.のダイニングで頂きます。ダイニングの窓側の柱にはツキノワグマやカモシカなどの頭部の剥製(ハンティング・トロフィー)が飾られている。山の宿ならではです。
湯で火照ったボディに先ずは、鮭とニジマスのハイブリッド「信州サーモン」をメインのお造りにチンカチンカに冷えたルービーで乾杯。
鴨のロースト、エシャロット、イチジクのコンポートが美しい盛り付けで出されます。
牛のたたきジュレソース、さらに牛鍋と肉肉しさにご満悦。
ツキノワグマも僕も大好物の根曲り竹の入った天ぷら。
天ぷらの登場と共に志賀高原の麓、沓野で造られるお酒、「縁喜(えんぎ)」を頂きました。
すっきりとした旨みで、すいすい飲めてしまうデンジャーなやつです。海の幸、山の幸、旬の野菜などの素材の旨みを引き出したやさしい味付けで、ゴキゲンな宴となりました。
翌朝も朝食を美味しく頂くため早朝から湯浴みとしけこんだ。ディープ・パープルの如く湯煙が上がってました。
朝食は、天然のなめこの入った美味しいお味噌汁をはじめ、赤魚焼、玉子焼きとまさにご飯がすすむ君。
贅沢に湯豆腐までも。シメジひとつとっても素材の良さにほっとします。
デザートは産地のりんご。身がしっかり詰まったりんごは、爽やかなお上品な甘さで、かじっても歯茎から血が出ません。ごちそうさまでした。
熊の湯温泉と山を隔てた群馬県側には硫黄含有量日本一の万座温泉と強酸性で自噴湧出量日本一の草津温泉があり、白根火山周辺では地球の息吹を感じる熱い湯が湧いています。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2018年9月)