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執筆者の写真きい

湯浜温泉 三浦旅館(宮城県)p.112


宮城・岩手・秋田の三県をまたがる栗駒山(1626m)は花の百名山としても知られ、秋には日本一ともいわれる山岳紅葉をみせる。その栗駒山南麓を一迫川に沿って宮城から秋田方面へ抜ける国道398号線を県境まで進んだブナの原生林に覆われた深山に湯浜温泉の一軒宿、三浦旅館さんがある。宿の前から始まる栗駒山への登山コース(湯浜コース)もあり、登山基地としての利用も多い。


湯浜温泉も本ホームページ68項で紹介した「駒の湯温泉」と同じく2008年岩手・宮城内陸地震で大きな被害にあった。さらに2011年東日本大震災で源泉枯渇、建物半壊と二度の震災を乗り越え、2012年に営業再開を果たした宿なのです。


花山村の温湯温泉(ぬるゆ)から国道398号線をさらに10キロほど進んだあたりの道沿いに「日帰り入浴」と「湯浜温泉」と書かれた赤い幟が数本立っている。冬場は豪雪にみまわれるこの道は江戸の頃より「花山越え」と呼ばれ、仙台藩と秋田藩を結ぶ重要な交易ルートとして栄えたそうです。


幟が立つ道路脇の駐車スペースに車を止め、道路を外れ沢に下るように林の中を歩いていく。


沢に下りるとコンクリート造りの橋を渡り、急流で清々しい滑滝を見送りさらに沢づたいに林を進む。


5・6分歩いた頃、小さく湯がぷくぷく自噴している箇所を発見。湯宿はもうすぐ


さらに5分程歩くと原生林に覆われた湯浜温泉 三浦旅館に到着する。


山小屋風の佇まい。ランプの宿として親しまれてきた四代続く老舗の湯宿。なかに入って入浴を申し出ると、やさしい笑顔のご主人が迎えてくれた。


三浦旅館さんの内湯は「秘湯の宿の湯殿はこうでなきゃ」と言わんばかりのステキなやつ。石畳みに木造りの湯船、これで十分です。3・4人サイズの湯船にはクリアな湯が張り、窓からはやさしい明かりが入る。湯はほうじ茶のような香ばしい香りがあり、湯中には細やかな茶色の湯花が漂うアルカリ性の単純硫黄泉。湯加減、湯触りがとてもソフトなんです。


窓外はブナの原生林が迫る勢い。秋の栗駒山のトレッキング後に、このやさしいロケーションと湯に身を委ねるセットプランを想像するだけでニヤニヤとスケベ面を浮べてしまう。


湯浴み後、ランプのさがる休憩所で一休み。剥製の月の輪ぐま、四季折々の栗駒山の写真などが展示されている。


ふと、一枚の色紙に目が釘付けとなった。ジョンレノン? 三浦旅館来たの?

らんぼうさん、紛らわしいサインはやめてください。


三浦旅館さんのもうひとつのお風呂は、沢沿いの宿の手前にある野趣溢れる混浴露天風呂。宿から3・4分の歩道の下にあり渓流を目の前にする、なんともキモちEやつ。


簡素な脱衣場でズボンを下ろし、しばし堪能


湯に浸かって見上げるとこんな感じ。なんということでしょう、ブナに襲われそうなくらいブナに覆われています。ブナが生える場所は一段と空気が澄んでいます。


適温に調節された湯壺。小さな穴ぼこからアチチな湯がじわりじわり注がれていました。瀬音ゆかしきゴキゲンな湯浴みです。


帰りの歩道でめっけたショウジョウバカマ。春の来ない冬、朝の来ない夜はございません。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2018年5月)

※お知らせです。(株)商船三井さんが運営するWebマガジンで「フェリーで行く湯巡画報」と題して北海道の湯巡りを紹介しています。近日中に第三回が掲載されるかと思います。そちらもご覧ください。https://www.mol.co.jp/casualcruise-sunflower/

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