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執筆者の写真きい

東鳴子温泉 馬場温泉(宮城県)p.111


今から1100年以上も前に起きた鳥屋ヶ森山の噴火により、あちこちで熱湯が噴き出したのが始まりとされる鳴子温泉。名前の由来は源義経が幕府に追われ奥州平泉に逃れる途中、静御前が生んだ赤子が産声をあげた湯として啼子(なきこ)が転訛したという説がある。鳴子温泉を中心に川渡温泉(かわたび)、東鳴子温泉、中山平温泉、鬼首温泉(おにこうべ)を総称して鳴子温泉郷と呼ぶ。源泉数、400を超える一大温泉地なのです。


そんな歴史ある古湯、鳴子温泉郷のなかでも東鳴子温泉は大型旅館などは無く、素朴な湯治場の風情がある温泉地。その東鳴子温泉の外れの国道47号泉に佇む白壁和風造りの馬場温泉は昭和40年代頃から湯治宿として始まった痛みによく効く湯として親しまれてきた。


馬場温泉は白壁の宿泊棟内にある内湯(男女各1)のほかに敷地内にある貸切入浴ができる木造りの小さな湯小屋が建つ。宿泊棟で料金を払い、「馬場乃湯一号」と書かれた看板がつく湯小屋の引き戸の木札を「どうぞ」から「入浴中」に裏返して中へ入る。


無駄のない素朴な造りの湯殿にはコンクリート造りの3・4人サイズの浴槽にモール系の黒っぽい湯が張る。訪問時、窓からの外光が湯に差し込み、湯面は翡翠色、湯底は琥珀色の淡い2トーンを演出。あまりの美しい色に見入ってしまう。無駄のない造りに神秘的な色の湯が張る湯殿は厳かな雰囲気をも醸し出す。


2トーンカラーの湯面には白い気泡も微か見られ、そんじょそこらの湯とは訳が違うのは一目瞭然。きりっと熱めの湯は東鳴子温泉特有のつきたてアスファルトのような匂いがあり、肌に張り付くような浴感。中性の純重曹泉の湯は肌を乳化させクレンジング効果が期待できる美人の湯なのです。


湯口からはとうとうとアチチな湯が注がれた浴槽内は45℃ぐらいの湯加減なので長くは浸かっていられないが、入ったり出たりを繰り返すと徐々に慣れてくる。


肌への泡付きもすこぶるキモちE。湧き立ての湯の中に空気が含まれ、浴槽に注がれるまで損なわれない新鮮な湯なのです。


湯に浸かりながら上を見上げると湯気抜きが付いた切妻屋根の美しい木組みが観れる


コンクリート造りの浴槽の縁や床はかっつり温泉の析出物に覆われている。無駄がなく、湯だけに集中できる造りはまさに燻し銀の佇まい。カッチョよすぎます。


湯小屋の向いに建つ旧家(有形文化財)にも釘付けにされる。どっしりとした緑青葺きの旧家には長年の風雪に耐えてきた木の味わいがある。


玄関のひさしを支える天然丸太の方杖がイカしてます


戸袋の凝った意匠にもうっとり

美人の湯として知られる重曹泉の郷には湯のぬくもりと木のぬくもりを備えた湯宿があります。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2018年5月)

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