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執筆者の写真きい

別所温泉 古刹と湯巡り(長野県)p.106


真田昌幸の城下町、上田から赤いローカル線(上田電鉄別所線)で田園風景の中、揺られること30分。終点の別所温泉の駅舎はレトロでゴキゲンな佇まいだ。別所温泉は信州最古の温泉で、周辺は塩田平といわれ古刹やの古塔などの文化遺産が点在することから「信州の鎌倉」の異名をもつ。そんな信州の鎌倉で外湯巡りをしつつ古刹を訪ねました。




1湯目の「大湯」木曽義仲が平家軍との戦で傷ついた兵士の療養で別所温泉を利用していたようで、義仲の妾であった葵の御前が傷を負った際、つくらせたのが大湯と伝えられている。そのため昔は「葵の湯」と呼ばれていたようです。この石柱の湯は飲泉も可能。


共同浴場ながら露天風呂もある


大湯での湯浴み後、ぶらぶらと訪れた厄除け観音として知られる「北向観音堂」(きたむきかんのんどう)。平安時代、比叡山延暦寺座主慈覚大師円仁が千手観音菩薩を刻み、北向きに祀ったことからその名が付いた。そのため本堂も北に向いており、国内ではほとんど例がないそうです。本尊である千手観音菩薩像は南面の「善光寺」の阿弥陀如来に相対しているそうです。


本堂にはこんな人の奉納提灯がさがってました。南向きの善光寺は「極楽往生」を願い、ここ北向観音では「現世利益」を願う場だそうでう。現世と来世の両方を願うのがベストでしょう。いつか、善光寺にも脚を運ばねば・・・。


2湯目は北向観音堂建立のため、当地を訪れていた円仁慈覚大師が好んで入浴したとされるその名も「大師湯」。湯は丸石の裂け目から放物線を描くように注がれる。


浴槽縁の淡いグリーンの丸タイルがシャレてます


高窓からのひかりが後光の如く神秘的。小ぶりだがとても心地イイ湯殿。帰り際、番台のおば様に「いい湯でした」と告げると、源泉を加水も加温せずに適温にする仕組みなど湯の良さを熱く語ってくれた。そんなおば様のお肌はさすがにキレイでした。


大師湯の湯浴み後、寄り道した信州最古の禅寺「安楽寺」。本堂の裏をのぼった山腹に

重厚な佇まいをみせる国宝「八角三重塔」。建立は鎌倉末期という。ぱっと見、「四重塔とちゃうん?」とツッコミを入れたくなるが、一番下の屋根は裳階(もこし)とよばれる「ひさし」にあたる部分だそうです。中国宋時代の建築様式、禅宗様で造られたもので日本に現存する唯一の八角塔である。


軒裏の垂木を放射状に組む「扇垂木」は禅宗様の特徴だそうです。扇垂木や詰組といわれる凝った木組みの美しさに惚れ惚れします。繊細な中にも力強さを感じるステキな塔です。


本堂と八角三重塔の道で迎えてくれた雪地蔵


3湯目、真田一族の隠し湯「石湯」。池波正太郎の「真田太平記」にもしばしば登場し、真田幸村らが石造りの湯壺で湯浴みする様子が書かれている。幸村気分で湯浴みするもよし。湯浴み後、石湯の真ん前にある「日の出食堂」でランチと洒落込んだ。


とりあえずチンカチンカの冷えたルービーと断面がワインレッドの馬刺しで乾杯。「う~ん、ウマいっ」。


そして名物「馬肉うどん」をそばで頂きました。やはり信州なのでそばに惹かれます。甘辛く煮た馬肉とそばつゆの相性がバツグンの逸品。やさしいお味が身体に染みわたります。


最後に訪ねた「常楽寺」は北向観音の本坊。鎌倉時代に「信州の学海」と呼ばれていた別所温泉ですが、ここ常楽寺もそのころ宗教・学問を勉強する場であったようです。本堂は茅葺き、寄棟造りで中央に向拝(こうはい)の突き出た威厳に満ちた立ち姿に圧倒されます。


密に生え揃った重厚感ある茅葺の屋根は見応えあります。本堂裏の石造多宝塔は国重要文化財に指定されている。


古刹と湯巡りを終え、駅前にある地元の産直野菜や名産品を売る「いけだや」さんで名物のおはぎとどぶろくを購入。おはぎは写真に収めるのを忘れて食べちゃいました。甘さひかいめのあんこで大変、美味しゅうございました。


どぶろくは同県、須坂市の遠藤酒造場の逸品、その名も「どむろく」。発酵中の酒を粗く網で濾しただけで瓶詰し、アルコール発酵に必要な活性中の酵母、丸米、こうじ菌などがそのまま入っていて瓶の中でも発酵を繰り返すという、まさに「発酵大王道」。口あたりのよい米のつぶつぶ感とほどよい酸味が旨みを引き出すとってもキケンなお酒です。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2018年3月)

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