郡山市は福島県のほぼ中央に位置し、かつては安積(あさか)とよばれ、戦国期に入って郡山とよばれるようになったそうです。街の発展は奥州街道の宿場となり、二本松藩の代官所がおかれた江戸時代といわれています。芭蕉が訪れた元禄年間は宿駅の整備が開始されたばかりでまだ旅籠などよくなかったようで同行した曾良は道中日記のなかで「宿ムサカリシ」と記している。明治に入り猪苗代湖の水を引き込む安積疎水でき、不毛地帯だった地を潤したばかりでなく、水流の落差を利用した発電所がつくられたことが大きな発展なったそうです。
郡山市には各所に温泉が点在するのも特徴で磐梯熱海温泉をはじめ市街地ながら良質な湯が堪能できる施設も点在する。その中のひとつ月光温泉大浴場はJR東北本線「安積永盛」駅から車で5分程の住宅街にある温泉。月光(げっこう)温泉と名前のインパクトも然ることながら場末のスナックのような佇まいが興味をそそる。この月光温泉 大浴場はお向かいにある大型温泉宿泊施設「クアハイム」が運営する共同浴場。
場末のスナックとは違うお向かいのデッカイ施設「クアハイム」。日帰り入浴も可能。別源泉だがお向かいの共同浴場の源泉も引いているとの事。
入口の下足箱上の新料金表。新料金との表示だが、かなり年季がはいっている。4月1日(エイプリールフール)からってのも疑わしい。
いい頃合いに鄙びた脱衣場でズボンを下ろして、いざ入湯。
湯気が充満しホワイトアウト気味の湯殿はタイル張りの空間。壁と床はグリーン系、浴槽は黒御影石で縁どりされたブルーのタイルが施されている。浴槽の一角からとうとうと注がれる湯が浴槽の外へ、ざわわ ざわわと歌の如くオーバーフローする微笑ましい光景を魅せてくれる。正面につく2つのアーチ型の小窓もまた、場末のスナック感は否めない。透明な湯はカツっと熱めだが滑らかな湯触りの食塩・芒硝泉。湯中を輝きながら立ち上がる無数の気泡が肌に貼りつく。それを手で撫でると剥がれ弾けるときのヌルっと&シュワっと感が実にキモちEんです。
浴槽に対しての湯量の多さが顕著にわかる注入率。
浴槽の外で座って休んでいてもオーバーフローする湯に浸れる。
(↑)オーバーフローする床で横になるのってキモちEんですよね。やりたがるのは解りますが、小ぶり湯殿なのでやめましょう。
湯触りがよく、欲しがりさんの僕は何度も「出ては浸かって」を繰り返した結果、思いのほかのパンチ力に軽い湯疲れをしてしまいました。くれぐれも長湯には気を付けて下さい。別料金で利用できる畳敷の休憩室では親爺さんもノックアウトでした。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2018年1月)