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執筆者の写真きい

谷川温泉 水上山荘(群馬県)p.94


関東平野と越後平野を隔てる谷川連峰は太平洋側に流れ込む利根川と日本海側に流れ込む信濃川の稜線の山でこれを中央分水嶺(ぶんすいれい)という。その主峰、谷川岳の頂上はトマの耳(1963m)とオキの耳(1977m)の2つの双耳峰で稜線の東側は一ノ倉沢などの切り立つ大岩壁、西側は一般登山コースでもある草原状の暖斜面形の形状をみせる日本百名山の山。そんな名峰の南麓に湧く温泉地が谷川温泉だ。


森と清流に包まれた閑静な谷川温泉には数軒の宿が点在し、その中でも一番奥にある水上山荘は昭和33年創業の白壁の落ち着いた趣の和風旅館。この宿は檜の宿というキャッチコピーを冠し「檜の宿 水上山荘」という。前回4年前(2013年)に宿泊して以来の日帰り入浴での訪問。


館内随所に見応えある花が活けられている


先ずは水上山荘さんの名物、エレガントかつラグジュアリーなラウンジの映画館のスクリーンのような窓から望める名峰 谷川岳の雄姿を暫し堪能。この名画のような出来すぎた景観を客室や露天風呂からも観ることができるのだ。

水上山荘さんの浴場「古代檜風呂」は樹齢2000年もの檜が更に数百年地中深く埋もれていたという木材を使った湯船でヒノキチオールを多く含む健康風呂だそうです。納豆でいうところのナットウキナーゼ的なモノなのか…?ヒノキチオールは殺菌、抗菌に優れている天然成分のようです。この湯殿が「檜の宿」のキャッチコピーがつく由縁なのだ。


少し赤みを帯びた板目の美しい檜の湯船に無色透明の湯が張る。適温よりややぬるめのやさしい温度に設定された湯は31.8℃と45.5℃そして56.1℃の泉温が異なる3本の源泉をブレンドしそれぞれの注入量をバルブの絞りで温度調節するという。季節や気温によってその都度バルブの絞りを0.1度刻みで行うという湯守の至難の業が光る。3つの源泉とヒノキチオールが渾然一体となった湯はまさに天然のロイヤルエッセンス。あまりの気持ちよさに全身の毛穴は満開のウェルカム状態に。


ピュアで透明感を持つ湯は飲泉も可能で胃腸にとても良いそうです。浴感と同じくやさしいお味で焼酎割りにもよ・さ・げ。


床には古代檜の枝を輪切りにしたものが埋め込まれている。樹石といわれるそうです。


内湯奥の硝子の引き戸から露天風呂に抜けられる。温泉好きだった仙人の伝説が残る「仙人岩乃湯」。石造りの湯壺に半分屋根がかかり敵温とぬるめの2つに区切られた露天風呂。


緑だった木々が赤、黄、茶と豊かな彩りをみせてくれる。その先には薄っすら雪をかぶった谷川岳の絶景を愛でながら鮮度バツグンの湯に浸かる。嗚呼、し~や~わ~せ~


鮮度の良さはお墨付き。日本温泉協会から全ての項目で最高評価の「5」を受けている。表示看板左下に並ぶ赤いサイコロの目のような部分がすべて「5」になった優等生。このオール5温泉は全国に16ヶ所しかないのです。ステキっ!


水上山荘さんには17室ある客室のうち8室は露天風呂付の部屋という湯量豊富な宿。さらに料理にも温泉が使われ、目にも口にも美味しい料理が好評。玄関先にも飲泉場がありペットボトルで持ち帰る客も多いとか。谷川岳の麓には湯疲れしにくいやさしい湯が湧いています。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2017年11月)

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