静岡県の東端、伊豆半島の付け根に位置する熱海市は背後に箱根連山、十国峠などの7~800mの山稜を背負い、前方は相模湾に面している。日本を代表する温泉都市、熱海温泉を中心に、湯河原、伊豆山、伊豆多賀、網代の5つ温泉地が点在する。なかでも熱海市の南部に位置する網代(あじろ)温泉は江戸の台所として海鮮をあずかった網代港があり、伊豆から江戸へつながる海路の風待ち港として賑わったという。網代温泉は熱海温泉から車で10分程の場所にあり、漁港が近いことから新鮮な海産物や干物が名物となっている。
国道135号沿いに建つ「平鶴」は昭和13年から続く魚屋さんが営む宿で湯の泉質の良さもさることながらグルメ旅館としても知られている。海岸沿いに建つ昭和リゾートマンション風の佇まい。以前は今の場所より少し下がった同じ網代温泉で料理屋を営んでいたようですが、昭和54年に「一龍館」という旅館だった今の場所に湯宿として再スタートされたようです。
平鶴さんの大浴場(20時に男女入れ替え)はゆったり10人サイズの菱形の浴槽。浴槽内はブルー系のタイルでチェック柄が施され、湯底には亀の石像が鎮座する。これにまたがって浸かればきみも浦島太郎だ。
適温に調節された湯は、ほぼ透明だが海水ほどの濁りがある。塩味と苦みのある湯はさらりとした湯触りの弱アルカリ性の食塩泉。浴後のポカポカ持続と肌のしっとり感がスバラシイ。
洗い場の壁にはグリーン系のタイルで美しいグラデーションが施され、カモメたちが飛び立つ海をイメージした凝った意匠。「♪ハーバーアーライトが朝日にかわーるぅ~」と思わず鼻歌出ちゃいました。
内湯の窓から露天風呂に抜けると「うぉー」と思わず声が出てしまう開放感溢れる相模湾の大海原にテンション上がります。前方の波消しブロックの先にはすり鉢地形の熱海の街並みや真鶴半島を望むおおらかなロケーション。さらに潮騒をBGM浸かるゴキゲンな湯浴みが味わる。
湯は内湯よりも塩味が強く湯口の湯を舐めると強烈な塩味とエグ味に思わずロバート・デニーロのように口がへの字に歪む。くれぐれも長湯にはご注意を。
今回、宿泊させて頂いたお部屋は4階の角部屋。ちょうど露天風呂の景色から4階分真上の素敵なロケーション。贅沢なオーシャンビューのお部屋。
バルコニーに立つと「♪海よ~俺の海よ~、大きな~その愛を~」と気分は若大将
夕食は網代の旬が豪華に並ぶ。カンパチ、アジ、伊勢海老、ウニなどのお造りをはじめ、
アワビの踊り焼や~
土瓶蒸しまで、魚屋のつくる本場の味を堪能。し~や~わ~せ~…
一品一品、新鮮で大変美味しゅうございました。お酒の進むスピードがキケンな宴です。くれぐれも「飲み過ぎシール」貼られないように。次回、平鶴さんの中浴場、貸し切り露天風呂などお送りいたします。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2017年9月)