前項の2項にわたって紹介した「湯沢噴泉塔」のトレッキング終幕に立ち寄った川俣温泉。旧栗山村のこの地は平家の落人伝説の地として知られている。川俣温泉は奥鬼怒温泉郷に続く県道沿いに4件ほどの湯宿が並ぶ温泉地で鬼怒川にかかる噴泉橋の真下に4・50分間隔で白煙と共に20mほどの湯柱を上げる間欠泉が観光名所になっている。
その間欠泉より少し上流の対岸に位置する老舗ホテル、仙心亭。玄関には立派な入母屋屋根が付く。玄関は4階部分で浴場は1階にあり、まさに渓谷の岩壁に張り付くように佇む湯宿。
ロビーからエレベーターで浴場のある1階へ。「湯浴みの女たち」と題名がつきそうな絵画が迎えてくれる。館内は古さを感じるがキレイに保たれている。
「仙里の湯」という名の大浴場は石タイル張りの広々とした湯殿。訪れたのがチェックイン前で洗い場の風呂椅子と洗面器がタイル目地に沿って配置されていた。美しいセッティングにお招きの気持ちが伝わります。トレッキング後の疲労した身体にはほっとする光景です。
御影石の浴槽も大きめの7・8人サイズ。大きく取られた窓からは鬼怒川の渓谷美を眺められる。湯は無色透明でクッキリ塩味を感知できる弱アルカリ性の食塩泉。浸かっていると額からじわじわと汗が滲み出す。適温に調節された湯は滑らかな湯触りでキモちE。内湯で汗を流し、ぼくが使った風呂椅子と洗面器は寸分の狂いもなく床のタイル目地に合わせ、床に残った泡を流してこの日のチェックインのお客に備え露天風呂へ移動。
露天風呂(混浴)は川俣温泉を発見したと云われる平家家臣の末裔、藤原藤四郎の名にちなんで「藤四郎の湯」と名が付く。浴場のある1階から外履きに履き替えさらに川に下りていった場所にある。
屋根が付いた石造りの露天風呂。内湯より熱めの温度設定だが湯の新鮮さが顕著に分かる。鬼怒川の深い渓谷を見下ろすロケーションで休憩用の木製の腰掛けもありゆったり湯浴みができる。露天風呂に着いた頃、写真では確認しづらいが露天風呂奥の対岸先にすでに間欠泉が噴き出す前兆があった。
数分後、湯に浸かっていると吹き出しちゃいました、間欠泉が。湯に浸かりながら間欠泉を観れるとはオツな湯浴みです。
見応えあります。この1時間ちょっとの日帰り入浴で観れるとは、この日のぼくはもってましたね。
さらに鬼怒川のヘリに湯壺らしきものが見える。以前は使われていたようなのですが、10年ほど前に経営者が変り、新たに許可申請が通らなかったとかで現在は使用できないようです。しかし湯を堪能するには十分な施設です。
宿の方のやさしい気遣い、お声かけにも癒されました。大型リュックを預かって頂いたり、湯浴み後、「バス時間までラウンジでゆっくり休んでいってください」と声をかけて下さいました。ラウンジにはなぜか昭和の名女優のサイン入りポートレート写真が…
恐らく名カメラマンの数量限定のポートレートだと思われる。正統派美人女優、星由里子や、
最近ではドラマ「やすらぎの郷」で前夫、石坂浩二と共演した若き日のルリルリのポートレートも… いつの時代も抜きんでた美人というものはいるもんですね。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2017年10月)