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執筆者の写真きい

大沢温泉 自炊部 湯治屋(岩手県)前編 p.81


岩手県南部の花巻市の西を流れる豊沢川の下流から上流にさかのぼった先に松倉、志戸平、渡、大沢、山の神、高倉、鉛、新鉛と8つもの温泉が点在する花巻南温泉峡。なかでも宮沢賢治や高村光太郎も愛したといわれる大沢温泉は近代的な旅館「山水閣」、茅葺き屋根の「菊水館」、それに昔ながらの「自炊部」から成る大規模な温泉だ。今回は3年ぶりの再訪となった。


自炊部は50室以上もある基本素泊まりの施設でリーズナブルな値段で宿泊できる。築200年以上、玄関帳場がある江戸から続く風格ある自炊部の佇まい。自炊部宿泊でも別棟の山水閣と菊水館の浴場にも入浴可能で3つの施設で湯巡りできるのがうれしい。


まずは自炊部にある混浴の大浴場「大沢の湯」。大沢温泉の開湯となった名物でもある露天風呂は真横を流れる豊沢川にせり出したリヴァーサイド露天。30人サイズのL字型の湯壺でL字の角を境に「あつめ」と「ぬるめ」に分かれ湯底には石板がリズムよく配されている。無色透明の湯に細やかな茶色い湯花がうっすら舞い、アルカリ度の高い湯は微かにぬるっと感がある。さらに川の流れと共に吹く絶妙な風も火照った身体にはキモちE。そばには菊水館とをつなぐ「曲り橋」がかかり、対岸に佇む茅葺きの宿泊棟が湯情を盛り上げる。


逆からのアングル


自炊部の廊下。きしむ廊下に襖仕切りの部屋、これぞ湯治宿といった趣き。いい出汁でてます


部屋は長年にわたって染み付いた生活臭が妙な心地よさを生むアロマテラピーと化す


自炊部にある内湯「薬師の湯」は建物2階分の吹抜けの湯殿。グニャーと曲がりくねったサイケデリックな形の浴槽(あつめ)と四角い浴槽(ぬるめ)の2つがあり共にタイル張り。サイケな浴槽は浅い箇所もあるので半身浴や寝湯も可能。吹抜けの空間は女湯からの声も響き、これまた湯情を盛り上げる。


館内には広々とした清潔な炊事場があり調理器具、食器類も揃っている。使用後はきれいに洗ってもとの場所に戻すこと。レトロなコイン式ガスが並ぶ。10円で7・8分はもつ


自炊しなくても館内に食事処や品揃えが豊富な売店などもあるので安心。リーズナブルでボリュウムある食事処「やはぎ」はいつも賑わっている。


二日目の夜はとり天定食とレモンサワーで乾杯。次回、別棟の山水閣と菊水館の浴場をお送りします。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。

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