前項で紹介した西山温泉からさらに県道を北に進むと早川町最北の集落、奈良田(ならだ)に着く。奈良田は南アルプスの山懐に抱かれた人っ子ひとり歩いていない山里で北岳を盟主とする白根三山縦走の登山基地でもある。さらに歴史ある温泉地でもあり奈良時代の女帝、孝謙天皇が訪ね、この地の湯に浸かって病を快癒されたという。この地を気に入った女帝は奈良にちなんで奈良田という地名を名付けたとか。

そんな長閑な山里の小高い丘に建つ、煙出し櫓がつく瓦葺きの大きな木造平屋の佇まいが奈良田の里温泉だ。食事処、売店などがある入浴施設で「南アルプス山岳写真館」、「早川町歴史民俗資料館」「古民家カフェ」なども併設されている。

浴場はその名の通り「女帝の湯」

南面に大きく窓が取られた板張りの明るい湯殿。二つに区切られた檜造りの湯船は湯口側の3.・4人サイズの槽が40℃前後、もうひとつの6.・7人サイズの槽は38℃前後とかなりぬるめの湯加減。透明の湯はほとんど無臭だが湯口から出たばかりの湯を手ですくうと仄かに玉子臭がある。アルカリ性の重曹食塩泉の湯はローションのようなヌルヌル感があり身を委ねて2.・3分ほどすると肌に微細な泡付きがありキモちE。さらに2・3分ほど経つとデリケートゾーンのヘアーには無数の気泡が付着し銀河系小宇宙を形成する。

時折、羽毛のような湯花が舞い、ぬるめのまーるい浴感にいつまでも浸かっていたくなる。浴後のツルツル感とポカポカ感はまさに美人の湯といえるでしょう

飲泉も可能な湯は消化器系、便秘にイイといわれています
浴後は食事処「こんぼうす」(この土地の方言で食いしん坊の意)で馬肉のもつ煮をあてにチンカチンカの冷えたルービーをドーノーに流し込む。嗚呼、極上の休日。気分はBGMにヤングラスカルズの「Groovin’」といったところ。シメには山菜そば頂きました。どれも大変美味しゅうございました。

奈良田の里から見下ろした早川沿いに佇む奈良田の集落。住んでいない家屋も多少あるとの事。写真左端の白塗りの建物はメジャーな秘湯宿、白根館です。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。