宮城県大崎市に位置し、奥州三名湯に数えられる鳴子温泉郷の中心部にある鳴子温泉。ここは全国的に有名な「鳴子こけし」の産地でもある。毎年9月には東北地方をはじめ各系統の工人たちが集まり全国のこけしが一堂に会する、こけし好きのこけし好きによるこけし好きのための祭典、「全国こけし祭り」が開催される。鳴子温泉は平安時代開湯といわれる歴史ある温泉で湧出した場所に温泉神社が祀られ、その最も古い歴史をもつ御神湯が使われているのが鳴子のシンボル的共同浴場、滝の湯だ。
湯気抜きの付いた緑の屋根が洒落た佇まい。何時も観光客や地元で働く人たちで賑わう
総ヒバ湯屋造りで厳かな雰囲気をもつ湯殿。赤みを帯びた湯船に青みがかった白濁の湯が張った美しいコントラストを目にぼくのハートはロックオン。建物の真裏にある源泉槽から湯殿の高窓をぶち抜くように丸太の木樋で湯が引かれ、打たせ湯のように湯船に注がれる。
熱めの湯は酸味のあるサラリとした肌触りの硫黄泉。湯船は2つに区切られ手前側は6・7人サイズで奥側には2本の木樋が通され打たせ湯が可能な2・3人サイズ湯船。湯が酸性のため湯殿には釘一本使われていない造りになっている(酸が釘を溶かすため)。天井に大きく口をあけた湯気抜き、豪快に通された源泉を送る丸太の木樋、この豪快且つ繊細な造りの湯殿には微かなヒバの香りが湯情を盛り上げる。
滝の湯源泉。7本の丸太の木樋が男女の湯殿へ
今から10年ほど前、初めて滝の湯に浸かって以来、何度か湯浴みに来ているが、いつ来ても混んでいる。頑張って7時半のオープンに合わせ7時10分頃に来ても既に10人以上が待っている。鳴子のシンボル的存在で人気のうえ、鳴子の宿泊客には滝の湯の無料券が配られるようで静かな湯浴みが希望ならやはり平日に来ないとダメなようです。
湯浴み後はこけし店などを見ながらぷらぷら。鳴子観光ホテルの看板猫に遭遇。唐草模様の首巻きがお似合いのツンと澄ましたオシャレさん
鳴子に来るたび気になるのがこの建物。ハート型の窓がイカした「鳴子駅前DX劇場」。廃業したストリップ小屋と思われる昭和の温泉街のなごり。ぼくの中では勝手に鳴子の有形文化財に指定している。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。