なまこ壁の商家や国の重要文化財の岩科学校など、明治の歴史的文化財が残る伊豆南西部の港町、松崎。そこから海岸線を南下すると三浦(さんぽ)地区と称される岩地、石部、雲見の3つの小さな漁村兼温泉地が並ぶ。その中の石部温泉は海辺に湧く温泉地で平六地蔵の湯(3月~11月)という無料の露天風呂がある。海辺の国道136号沿いの石部温泉バス停から山側へ伸びる集落を縫うように登り坂を進んだ先にひっそりと佇む宿「いでゆ荘」。
昭和47年に掘り当てたという自家源泉を持つ宿。正面には入母屋屋根がついた昭和感の強いやつ
いでゆ荘さんには男女(各1)の内湯と混浴の露天風呂がある。内湯は白塗りの小ぶりな湯殿で石組された2人サイズの浴槽。浴槽の隅の信楽焼風ぶんぶく茶釜が湯口と思いきや、湯は湯底の小さな穴から注がれている。透明の湯は適温で鉱物臭香るやわらかい浴感。石部温泉特有の強い塩味は感じないがよく温まる。
脱衣場から浴舎を出るとプールのような大きな露天風呂が広がる。が、なんと訪問時、清掃直後で湯が3分の1程度しか貯まっていなかった。(無論、入浴前それでも良ければということで了承済み)湯は手前側と中心あたりの噴水からとうとうと注がれている。湯量豊富に注がれてはいるものの、この広い湯壺を満たすには1時間~2時間はかかりそうなので止むを得ず半身浴。
反対側からのアングル(イラスト)。広い湯壺のため内湯よりはぬるめで、そのうえ半身浴のため湯に浸かっていないぼくのチクビは風にさらされアルデンテに。そのため内湯との交互浴を繰り返した。
開放感のある露天には「どんぶら姫」と題名のついた人魚や五重の塔などの今ひとつ思想がつかめないオブジェが点在する
手前側の湯口にはグラマラスな狸やらお地蔵様が
脱衣場の入口の上に飾られたレアな手ぬぐい発見。懐かしい昭和の深夜番組、「11PM」の秘湯の旅の手ぬぐいではあーりませんか。うさぎちゃんのイラストまで描かれている。女将さんの話では昔、いでゆ荘さんにもうさぎちゃんたちが露天風呂に浸かって撮影されたそうです。恐らくこんな感じに紹介されたことでしょう。
うさぎちゃん1「源泉名は?」
うさぎちゃん2「石部温泉、いでゆ荘」
うさぎちゃん1「泉質は?」
うさぎちゃん2「カルシウム・ナトリウム塩化物温泉」
うさぎちゃん1「効能は?」
うさぎちゃん2「筋肉痛、関節痛、疲労回復など」…と。
帰りは看板猫のポコが見送ってくれた。このチョットふてぶてしい顔がにゃんともカワイイのだ
いで湯に癒され、どんぶら姫に驚かされ、懐かしのうさぎちゃんを思い出し、帰りはポコに見送られるなど、いでゆ荘さんには地味で楽しいギミックが点在していました。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。