山形県の日本海沿岸地域である庄内地方は海あり山あり名湯ありの豊かな自然に囲まれ、湊町の酒田と城下町の鶴岡の二大都市が並立する。湯の瀬温泉はJR鶴岡駅からバスに乗り西へ、庄内三名湯である湯田川温泉を過ぎ、さらに15分、最寄りのバス停に宿の車が迎えてくれた。「んだ、んだぁ」とダニエル・カールばりのコッテリ濃厚な山形弁で話すご主人が宿まで送迎してくれた。とても海岸が近いとは思えない山間の清流、五十川(いらがわ)のほとりにポツンと佇む一軒宿だ。
湯の瀬の湯は先代が1050mの掘削により48℃の源泉が湧き出したというもの。昔から神経痛や関節痛に効果があるそうです。
ブルー系のタイルで統一された清々しい内湯には正方形の3・4人サイズの浴槽がひとつ。「ガオーッ!」とライオンさんの開いたお口から湯が注がれる。ガツンと熱めの湯は仄かに鉱物臭のする強アルカリの単純泉でサラリとしたクリアな湯がキモちE。
湯の瀬旅館さんの自慢の大露天風呂(混浴)は幅15m、奥行き23m、深さ1.2mのプールのようなドデカイやつ。毎分800ℓの豊富な湯量を持つ宿のなせる業だろう。周りは岩組みされ、アーチ状に組まれた太い鉄筋に枯れ葉や虫除けのためテントシートとメッシュシートで覆われた屋根が付く。女湯と書かれた暖簾の向こう側は女性専用になっている。浮き輪などの用意もあり子供連れの家族とジイジとバアバも加わり、親子三代で楽しめる露天だ。
しかしこんなに広いとどこに留まって湯浴みをしていいのか迷い、探しながら自然と歩行浴となり留まるころには顔面から汗がふきだし「熱いぜ!ベイベー」と思わずイマーノ清志郎如く口から漏れた。
逆からのアングル↑
湯の瀬旅館さんは鮮魚商の資格を持ちさらに仕出し屋も担っているため地元庄内の由良港で揚がった旬魚を美味しく料理してくれる。特に新鮮なカキや旨みたっぷりのカレイの素焼きはとても美味しゅうございました。あと特筆すべきは女将さんの明るくゴキゲンなもてなしだ。館内どこで会っても何か不自由がないか気にかけてくれ館内どこにいても女将さんの声が響いている。「熱いぜ!女将さん」
大露天風呂は夜9時頃に終了するため女性専用時間が終わったすぐ後に行くと貸し切り状態だった。夜は湯底も真っ暗でこのだだっ広い湯壺に一人はなかなか不気味だったがゆったりとした気分で歩行浴を楽しんだ。見上げるとジンライムのようなお月様が浮かんでいました。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。