前項の藤島旅館さんに入浴後、この日は歩いて2・3分の「高東旅館」に宿泊。高東旅館さんは昔から湯治宿として親しまれ、「東五郎の湯」という自家源泉をもつ。この湯は昭和のはじめ川渡を訪れた旅の僧侶が当館二代目、高橋東五郎宅に逗留した。その僧侶が帰り際、「ここを掘れば、万病に効く仏の湯がでる」と言われ掘りあてたとされる日本昔ばなしのようなステキな歴史をもつ宿。
湯治宿特有の鄙びた木造の外観とは違い、最近リニューアルされたばかりで今どきの学生寮を思わせる自炊棟。
本館玄関にはたくさんのこけしが迎えてくれる
高東旅館さんには内湯(男女各1)と家族風呂がある。内湯は半楕円の3・4人サイズの浴槽があり美しい鶯色に濁る湯が張る。浴槽内はタイル貼で縁にはセメントの人研ぎ仕上げが施されている。石組みされた湯口からは東五郎の湯がやさしく注がれている。熱めの湯はとろみを感じるほどの濃さがあり硫化水素臭を放つ。壁から天井は白塗りで明かりとりのため正面に大きく窓が取られた湯殿は明るく清潔感がある。シャワー付きカランがひとつだけで湯治の湯らしくシャンプーや石鹸などの配置もなくスッキリとしている。浴後のひと皮むけたような肌のサラサラ感やポカポカ持続がスゴイ。
家族風呂
2・3人サイズのタイル貼の浴槽で2面に窓が取られ壁には白タイルが施されている。浴槽の縁には湯の析出物ががっつりとコーティングされ硫化水素臭のほかに油臭も感じた。家族風呂は空いていればいつでも利用できるのが嬉しい。
高東旅館さんは自炊湯治が基本の宿だが、今回利用した食事付の宿泊は朝晩共にお弁当スタイルで1泊6500円ほどとリーズナブルなのも嬉しい。
ふたたび、みたび、かわたび、何度でも訪れたくなる名湯があります。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2016年5月)