前項で紹介した滝の湯さんに宿泊し、西山温泉の湯巡りを遂行。滝の湯さんから橋を渡った対岸にあるのが「中の湯」。緑色の入母屋屋根が粋でオシャンティな佇まい。中の湯さんは3種類の源泉が楽しめる宿で、屋号でもある「中の湯」と滝の湯さんにも配湯されている「荒湯」そして「杉の湯」だ。
まずは本館にある浴場には杉の湯源泉が注がれる。3・4人サイズのひょうたん型の御影石造りの浴槽にはシジミのおすまし程の濁り湯が張られている。湯の中には細やかな白い湯花が揺らぎ、軽くぬめりがあるトロっとした湯触りでほんのり卵臭がする食塩泉。滝谷川に面して窓が取られ、正面壁にはワンポイントで硝子ブロックが施されている。湯口は細い塩ビ管が二股に分かれ一つは浴槽へ、もう一つは浴槽の外に置かれたポリタンクに差し込まれポリタンクから溢れでる湯をかけ湯として使うよう細工されていた。
中の湯さんには本館の玄関から出た場所に別館として風格のある切妻造りの浴舎が建つ。玄関上の屋根の破風にはカッチョイイ龍の透かし彫りが施される。
「桧風呂」という名の湯殿は立派な湯屋造りで天井が高く太い梁(はり)が幾重にも重なりあって組まれている。もしこれを京都の女性が見たら恐らく声を上げて言うだろう、「太い梁(はり)が複雑に張り巡らされてはりはるぅ~!」と。湯口からはとうとうと中の湯源泉が注がれ湯口の樋の先端には白い湯花がへばりつくように付着している。湯色は本館の浴場と同じくすまし汁系の色だが細かな白い湯花と黒い湯花がはんなりと舞う。塩味があり仄かにアスファルトのような油臭を放つ。
湯殿の右側から露天風呂に抜けられる。ガッチリとした大きな岩で組まれた10人サイズのおおきな湯壺。こちらにはサラッとした浴感の荒湯源泉が注がれる。訪問時、他に客がいなく貸し切り状態だったのでゴロゴロと湯浴みができ、ゆったりとした贅沢な時を過ごせました。「ええお湯よばれて、ほんまおおきにぃ~」では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。