鶴が傷を癒した伝説が残る奥会津の名湯。JR只見線の早戸駅から徒歩10分ほどの場所に雄大な只見川を臨む高台に建つ。古くから湯治場として多くの人に親しまれ1200年もの歴史をもつ薬湯。早戸温泉つるの湯さんは本館と湯治棟の2つからなり本館は日帰り入浴施設、湯治棟は自炊施設完備の宿泊棟(素泊まりのみ)となっている。宿泊者は湯治棟の内湯、本館の湯にも入浴が可能である。
湯治棟は鉄骨造りの古い建物ではあるが(イラスト上)中は掃除が行届きとても清々しい。
湯治棟の内湯はぼく好みの小ぶりで素朴なやつ。5角形の3人サイズの浴槽がひとつ。木箱のような湯口からガブガブ湧き出すように注がれる。うっすら笹濁りの熱めの湯はとろみのある食塩泉。外傷や皮膚病に効果があり飲泉も可能でほんのり鉄臭を感じる塩味で飲むことで慢性胃腸病、便秘などに効果があるという。
浴槽の縁から床にかけサンドカラーから飴色、そして黒にグラデーションの析出物がこびり付く。
本館は新しめの入母屋造りの外観。湯治棟の裏からつながっており、写真左手の屋根付きの通路に出られる。
本館の大浴場はコンクリート造りの15人サイズの横長浴槽。只見川を眺められるように大きく窓が取られた湯殿。夕暮時、窓からアンニュイな西日の光が湯気に差し込むさまは、なんとも幻想的。湯口は湯冷まし槽で一度、湯溜めされてから浴槽に注がれる。
湯殿の奥には露天風呂もあり、優雅な流れをみせる只見川に溶け込んだような露天風呂。石組みされた3・4人サイズの小ぶりな湯壺ではあるが、笹色の湯と前に広がる只見川のフォレストグリーンのコントラストが一体感を生みとても開放的。ゆったりとした川の流れを観ながら適温よりやや温めでかけ流される湯に相好を崩し、かなりのエロ面に…嗚呼。
本館にはラーメンや蕎麦などの食事処も併設されており本館内の売店ではおにぎり、焼きそばなどの販売もあるので素泊まりで自炊の用意がなくても大丈夫。
温泉は湯の良さだけではなく、改めて「天地効果」の大切さを気付かせてくれる最高のロケーションをもつ名湯でした。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2016年3月)