JR熱海駅から徒歩15分ほど。隣のJR来宮駅だと5~10分ほどの温泉街から外れた水口町(みなぐちちょう)という静かな住宅地にひっそりと佇む共同浴場「水口第一共同浴場」と「水口第二共同浴場」が利用者の減少や建物の老朽化などの理由で2015年の12月31日をもって閉館となりました。
【水口第二共同浴場】
来宮駅から坂を下った場所のお肉屋さんとヒトんちの狭い路地の先にある浴場。近くの商店で入浴券を購入して入る。狭い路地にあるため外観が分かりづらいが裏に回ると見ることができる(イラスト↑)木造波トタン張りで屋根に湯気抜きが付いたツートンカラーのイカしたやつ。波トタンにはいい塩梅に錆が付き、枯れゆくものに風情を感じてしまうぼくには堪らない佇まい。
お肉屋さんとヒトんちの間の狭い路地。
アプローチの先にある公衆トイレのような扉。(右が男湯、左が女湯)
あまりの狭さにビックリだがペンキで白く塗られた壁の湯殿にはコンクリート造りの2人サイズの浴槽がひとつ。脱衣場と湯殿の境がない一体型で9つに区切られた脱衣棚がある。朽ち果てそうな外観とは違い、小さくとも清掃が行届いた湯殿に慎ましさを感じる。午後2時からの営業で浴槽には湯が入ってない。初めに来た客が浴槽に湯を入れるルールのようで蛇口をひねると50℃超えの熱い湯が勢いよく出るので小さな浴槽は5分もあれば湯が溜まる。塩味のある湯は熱いため加水しないと入れないがよく温まるサラリとクリアな湯だ。
【水口第一共同浴場】
水口第二共同浴場から前を流れる初川という川に沿って5分ほど下った場所にあり、こちらも木造波トタン張り(錆付き)の佇まい。とても共同浴場とは思えない外観。しかし中に入ると脱衣場と湯殿は分かれていて天井の高い湯殿なので第二浴場のような狭さを感じない。
浴槽は2・3人サイズで人研ぎ(じんとぎ)仕上げの凝ったものでカランもしっかり3人分ある。共同浴場とは思えない外観だったが意外や意外。日頃、セクシーさを微塵も感じさせない地味な女性が「実は脱いだら凄いんです。」的なやつだ。いっしょだった地元の親爺さんの話では昔は浴槽も床も全て木造りだったそうです。こちらの湯は第二浴場とは明らかに違う源泉で塩味がなくカルシウムなどの鉱物臭がしっかりと感じるタイプ。親爺さんの家には風呂はあるのだが、毎日この浴場に来るとのこと。やはり温まりかたがぜんぜん違うそうだ。洗い場でうめき声を発しながら体をこする親爺さんの曲った小さな背中を見ているとなんだか遣る瀬無い気持ちになった。都市型で大型旅館ばかりのイメージが強い熱海温泉にあった素朴で慎ましい浴場が一気に2つもなくなってしまいました。
時代の流れなんでしょうかねー・・・なんだかなー・・・。
では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。
(訪2015年12月)
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