新湯(あらゆ)温泉には「寺の湯」、「中の湯」、「むじなの湯」の3つの共同浴場があり前項で紹介した湯荘白樺さんの隣には「寺の湯」が、裏手には「中の湯」がある。
「中の湯」(イラスト左)はダブルの赤い三角屋根が可愛いイカした外観。板張りの簡素な造りの湯殿には2・3人サイズの湯船一つ。塩ビ管の湯口にバルブが付いているので湯量を調節する事ができる。「中の湯」源泉は湯荘白樺さんにも配湯されている酸性泉ながら肌がピリピリする事のないさらりとした肌触りの湯。
「寺の湯」(イラスト下)は3つの共同浴場の中で唯一混浴の浴場。建物の後ろには荒涼とした山肌から蒸気が上がる。真ん中で2槽になった湯船が1つ。温泉成分で白く変色した湯船の縁には風格すら漂う。湯はかなり熱めで後ろから押された芸人さんなら必ずいいリアクションをとってくれること間違いナシ。なのでホースで加水しないと入れず、それでも長湯できる温度ではないので2.・3分浸かっては湯船の外で休むという具合だ。新鮮な湯は匂いといい浴感といい成分の濃さを感じる素晴らしい湯だった。
3つ目の「むじなの湯」(イラスト下)は「寺の湯」と道を挟んだ向いから伸びる細い路地階段を30mほど下りた場所にひっそりと佇む。むじな(たぬきの意)が昔、傷を癒しに来ていたのだろうか・・・。
屋根に湯気抜きが付いた木造モルタルの質素な外観ではあるが「自分、不器用ですから・・・」とでも聞こえてきそうな内に秘めた気高さを覚える。板張りの小さな湯殿だが意外と天井が高く圧迫感がない。3人も浸かればイモ洗い状態の小ぶりな湯船が一つ。湯は湯船の奥側面の岩間から静かにぬわーんと自然湧出する湯をそのまま利用している。硫化水素臭とツンとくる強い酸味、そしてアスファルト臭のような匂いもする。キリっとピリっと熱めの湯はとろーり滑らかで3つある共同浴場の中で最も濃厚でパンチの効いた湯だった。それぞれ成分濃度に違いがあるためその時の体調に合わせてチョイスするのもよいでしょう。湯荘白樺さんは正午からのチェックインが可能なので宿の湯に浸かり、3つの外湯巡りをして宿の部屋に戻ってもまだ14時頃。そしてゴロゴロしてはまた湯に浸かるという具合だ。「ゴロゴロ湯浴み好き」には最高のオアシスなのだ。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。