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執筆者の写真きい

鹿沢温泉 紅葉館(群馬県)前編 p.145

長野と群馬の県境にある湯の丸山の東麓に位置する鹿沢温泉は、標高1500mに湧く古湯であります。長野県東御市(とうみし)から県境の地蔵峠を越えて鹿沢温泉に至る道はいにしえより湯道と呼ばれ、多くの湯治客が通いました。その約16kmにわたる県道沿いに道しるべとして100体の観音像が江戸末期に安置されたそうです。そして、その湯治場こそが「百番観音像が立つ鹿沢温泉であります。

鹿沢温泉の一軒宿、紅葉館さんは「♪雪よ岩よわれらが宿り~♪おれたちゃ町には住めないからに~」の歌い出しで知られる山男の山男による山男のための山男ソング「雪山讃歌」が誕生した宿だそうです。









訪問したこの日は群馬県側(万座鹿沢口)から嬬恋高原経由で鹿沢温泉へ。車中から、でぇーんと立ち誇る浅間山の雄姿をみることができました。










百番観音像が立つ鹿沢温泉紅葉館さんに到着。本館、温泉棟、旧館、そして宿に併設する蕎麦屋「雨過山坊」からなる湯宿であります。










2013年にリニューアルされた本館は木をふんだんに使ったぬくもりの空間。











部屋に用意されたお着き菓子は僕も大好きな「みすず飴」。群馬県の宿なのに長野県の名菓なんです。群馬県側の道路が整備されたのは戦後になってからで、それまでは長野県側からの湯治客ばかりだったそうです。みすず飴の飯島商店さんとは、もうずいぶん長いお付き合いだと、四代目女将が教えてくれました。










紅葉館さんの浴場は内湯のみ。すぐそばの源泉から動力を使わず、高低差だけで直接湯船に注がれるという完全放流式のかけ流しであります。









スバラシイ湯使いもさる事ながら、湯殿のビジュアルもこりゃまたスバラシイ。正方形の湯船に青みがかった濁り湯が満たされ、その正面にはくるくると燃え上がる炎の周りを稲穂と月桂樹を持った二人の童子の躍動感みなぎる舞いが壁にうっすら浮かび上がっているのです。










しっかりとした鉄臭を放つ重炭酸土類泉はとろみがあり、肌と同じ弱酸性の湯であります。パワフルな湯なので長湯は禁物です。調子こくと、ぐったり骨抜きにされます。









シド・ヴィシャスばりのヘアースタイルの童子のレリーフは第二次世界大戦でこの宿に疎開したカソリックの彫刻家によって鏝絵(こてえ)で描かれたようです。うっすら浮かび上がるような描き方に神々しさが増し、まるで古代遺跡に浸かっているかのような感覚に陥ります。次回、紅葉館さんのお食事などを紹介します。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2020年3月)

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