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  • 執筆者の写真きい

貝掛温泉(新潟県)p.126

「国境のながいトンネルを抜けると雪国であった」の冒頭で始まる川端康成の「雪国」の舞台となった越後湯沢。新潟県の東南端に位置する町は、東南は群馬県、西は長野県に境を接し周囲には谷川岳、上ノ間山、苗場山など標高2000mの山々がそびえる風光明媚な町なのです。上越新幹線も乗り入れる越後湯沢駅から南西に8kmほどの奥湯沢と呼ばれる場所に一軒宿「貝掛温泉」があります。

国道17号線から下った谷間に庄屋造りのどっしりとした佇まいは秘湯ムード、ムンムン。開湯700年を誇る湯は上杉謙信の隠し湯ともいわれ、湯量豊富な湯は37℃とぬるめ。ぬる湯にじっくり浸かって効能を促すのが貝掛流なのです。







木のぬくもり感じる館内。さすが米どころ、玄関には米俵が並びます。







帳場で入浴をお願いし、ピカピカの床を進んで浴舎に向かいます。







浴舎の脱衣場にかかる日本温泉協会の温泉利用証。湧出量、療養泉としての規定、源泉からの引湯距離、放流式のかけ流しなど6つの項目が全て最高評価の「5」を受けている。左下に並ぶ赤いサイコロの目のような部分がすべて「5」になった優等生。このオール5温泉は全国に16の施設しかないのです。






高く取った天井に太い梁をめぐらせた湯情あふれる造りで、2つに区切られた赤い御影石の浴槽にはクリアな湯がたっぷりと満たされている。区切られた浴槽の手前側が適温に加温された槽、奥側の広くとられた槽が37℃前後の源泉槽になっている。とろみのある湯はほのかに塩味を感じるアルカリ性の食塩泉。源泉槽では最初ヒヤッとするが、時間と共に心地いい温度に感じ、さらに肌への泡付きが多くすこぶるキモちE。







エベッさんが鎮座する湯口からとうとうと湯が注がれている。







源泉槽で極上の湯浴み法がこの浴槽縁の木枕なのです。絶妙なフィット感の木枕に首裏をあてがってゆっくり両脚を伸ばすと、自ずと腰から身体が浮き、人肌ほどの湯温も手伝ってか身体が宙に浮いているような感覚を覚えます。







極上の湯浴みからのアングル。白壁と板張りの美しい湯殿。







さらに見上げると湯気抜きの付いた屋根を支える太い梁の木組みに圧倒。目を閉じると、とうとうと注ぐ湯の音と天井に近い矢切り部分に付いた換気扇のモーター音だけとなる。低温に響く換気扇のモーター音がなんとなくお堂に響きわたるお経のように聞こえ、宙に浮いている僕は極楽浄土へと召されていくようなトリップ状態となる。「パトラッシュ、僕はもう疲れたよ・・・」







床材は十和田石が使われ、スノコと浴槽の赤御影石がゴキゲンなトリコロールとなっています。







雪見の露天風呂はやはりいいもんです。石組された大きな湯壺にドバドバと打たせ湯ように注がれている。ぬる湯の雪見露天で寒そうに感じるが、意外と大丈夫。寒がりさんのために加温されたポイントもあります。






打たせ湯のような湯口の手前にも目洗い用の湯口もあり、注がれる湯を両手でお椀を作るように湯溜めし、そこに目を浸してパチパチ開閉すると目がスッキリします。ホウ酸が多く含まれる湯は昔、「快眼水」の名で目薬として販売していたそうです。







館内には薬師様が祀られています。帰りに感謝の気持ちで合掌。







展示コーナーでは色んな著名人の来館写真がありました。中でも若き日の安室ちゃんの写真にはビックリしました。上杉謙信の隠し湯に平成の歌姫も癒されたという伝統ある湯宿がここにあります。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2019年3月)

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