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執筆者の写真きい

箱根・芦之湯温泉 きのくにや(神奈川県)p.147

江戸時代、五街道のひとつ東海道に沿って繁栄した箱根温泉。かつて湯本・塔之沢・堂ヶ島・宮ノ下・底倉・木賀・芦之湯の箱根七湯として知られ、現在では箱根十七湯と呼ぶまでに発展した温泉地であります。

そして箱根の冬の一大イベント「箱根駅伝」では毎年多くのドラマを見せてくれます。中でも通称(山登り)と呼ばれる5区は小田原から国道1号の最高地点の標高874mまで一気に駆け上がるという看板区間であります。今回ご紹介の湯はその最高地点にほど近く、箱根七湯のひとつでもある芦之湯温泉 きのくにやさんです。










この日、箱根湯本から湯坂路ハイキングコースを歩いて芦之湯へ。コロナ禍の運動不足解消のため、真夏の低山ハイクとなりました。道中、倒木にこびりつくサルノコシカケも汗がびっしょり。










約2時間半のトレッキングで芦之湯温泉きのくにやさんに到着。鉄筋造りの本館ではありますが創業は江戸時代の正徳5(1715)年、薬効高き自家源泉をもつ老舗宿であります。









何度か日帰り入浴は利用させて頂いていましたが、この日はタイミングよく貸切風呂に入ることができました。本館向いの半地下に建つ貸切風呂「正徳の湯」(前出イラスト)であります。









江戸時代の湯屋を再現したという木造りの風情ある湯殿であります。小ぶりな湯船が左右にふたつ。左側の薄っすら白濁した湯は自家源泉の硫黄泉。右側は近くの湯ノ花沢から引く重曹・芒硝泉。










硫黄泉は300年以上自然湧出する芦之湯1号泉。源泉は34℃と低いが、湯船では38℃前後に感じるので、少々加温されているようです。マイルドな硫化水素臭を放つ湯をかきまわすと粉状の湯の花が舞い上がります。やさしい湯温で注がれる湯にはとろみを感じます。









重曹・芒硝泉は湯船で加水されているものの、きりっと熱め。浸かっていると徐々に湯温に慣れ、さらりとした湯感であります。









ぬるめの硫黄泉と熱めの重曹・芒硝泉の交互浴はトレッキング後の筋肉をじんわりほぐしてくれます。









縁をすりガラスに加工した窓からはやさしい光が差し、さらに湯情を高めてくれます。










本館にある浴場「湯香殿」でもふたつの泉質を楽しめます。

露天にある一人サイズの陶器の湯つぼは、34℃の源泉のまま注がれるヒンヤリな湯温ですが、徐々に皮膚の表面から温かさを感じ慣れていきます。内湯や芦ノ湖周遊風呂(イラスト)の適温の浴槽との交互浴で血行促進、代謝アップ。









露天風呂の壁には大涌谷のモザイク画。山の中腹から立ちのぼる硫化水素ガスの描き方になんとも愛着を感じます。









館内にあった昔のきのくにやさんの写真。玄関引き戸に板ガラスが入っているので、恐らく明治後期以降のものだと思われます。日本髪に結った女性たちの凛とした立ち姿に(できる女)を感じます。










本館前には巨大な鉄釜に余った温泉をドバドバと放流。豪快かつ爽快な湯量アピールのオブジェは、醬油醸造元で豆を煮る際に使われていた大釜だったそうです。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2020年8月)


追伸、三度目の緊急事態宣言が発令されました。二度ある事は三度あるとは言いますが、三度目の正直にしてもらいたいものです。先行きの不安や心配ばかり頭をよぎりがちですが、何気ない小さな喜びに感謝の心を寄せると心身が保てるように思えます。皆さん、くれぐれも気をつけてお過ごしください。


2021年4月 きい

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