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執筆者の写真きい

箱根・底倉温泉 函嶺(神奈川県)p.165

湯治場としての歴史のある箱根が大衆化したのは江戸後期の「箱根七湯」といわれた頃で安藤広重の浮世絵にも描かれています。そして明治時代には日本初の本格的リゾートホテルとして箱根・宮ノ下に富士屋ホテルが誕生します。


今回紹介する温泉は、富士屋ホテルより西へ300m、早川の支流 蛇骨川(じゃこつがわ)を八千代橋で渡ったところにある箱根七湯のひとつ、底倉温泉であります。深い谷を流れる蛇骨川沿いの湧泉群を源泉とする温泉で上流には豊臣秀吉が入湯したという「太閤の岩風呂」があります。

箱根初の医療施設には入院患者のために引かれていた温泉があった為、閉院後は日帰り入浴施設へと生まれ変わりました。大正時代に建てられたという木造二階建ての洋館からは以前病院だったという面影を色濃く残す佇まいであります。








張り出した玄関からは、往時の左官職人の技が光ります。人造石洗い出しと白壁のコントラストに気品を感じます。








館内も病院の名残りを感じる漆喰の白壁が美しい空間であります。








二階に続く階段には意匠の凝った垂れ壁のアーチが施されています。(二階部は住居)








そして名残りの極めつけは受付の左側にある調整されたお薬を出す小窓。往時の看護婦と患者のやりとりが浮かんできます。








外科室だったという場所は、浴後の休憩スペースを兼ねたティールームとして利用するなど、想像力をかき立てる空間となっています。







函嶺さんの浴場へは館外の湯小屋へ移動します。数段下った裏手の庭に建つ湯小屋に中から鍵をかけて1時間貸切り利用できます。(お一人様1500円)













2019年、さらにリニューアルし、オサレな湯小屋に生まれ変わりました。脱衣場には扉のないトイレもあります。








秀吉の側室であった淀君(よどぎみ)の名がついた浴場。ガラス越しに見える美しいロケーションに入る前からニヤついてしまうのです。







浴場は屋根付きの露天風呂タイプで前方には竹林が広がる爽快なロケーションであります。十和田石で造られた浴槽はゆったり2・3人サイズ。クリアな湯がなみなみと張っています。







適温に調節された底倉源泉の湯はアルカリ性の肌にしっとり馴染むような湯であります。仄かな鉱物臭と仄かな塩味を感じるあたたまりの湯であります。







湯に身を委ねて見上げると、森林浴というか、竹林浴というかを同時に味わえるのです。そして火照った身体を竹林から吹く爽やかな風がクールダウンしてくれるのです。贅沢な湯浴みを堪能しました。







湯小屋の池には鯉かと思いきや、どでかい金魚が優雅に泳いでいました。何年モノなんでしょう。







そして池に注がれる水の源は小便小僧。イチモツまでをも覆い隠す毛量感はギャランドゥどころの騒ぎじゃありません。今後アニキと呼ばせてもらいます。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2021年11月)

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