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執筆者の写真きい

百沢温泉郷(青森県)p.134

♪きっと帰って くるんだとぉ~お岩木山で 手を振れば~♪・・・ 振り袖にパンツルック、そして三味線をエレキギターのように抱え、軽快に歌う松村和子の「帰ってこいよ」(1980年)はセンセーショナルなデビューで大ヒットとなりましたね。今回はそのお岩木山の麓に湧く温泉を紹介します。

津軽平野の真ん中に位置する岩木山(標高1625)は青森県の最高峰。山容が円錐形であることから津軽富士の別名があり、山麓にはみちのくの日光といわれる岩木山神社があり山頂に奥宮がまつられています。そして神社のある百沢にはこぢんまりとした温泉郷もあり、冬でも冷めにくい湯は別名「熱の湯」としても有名だそうです。






JR弘前駅から弘南バスで40分、岩木山神社に到着。参拝のため参道を進むと、朱塗りの立派な楼門が現れます。手前には同じく朱塗りの欄干がついた神橋があり、まるで神の領域と俗世を隔てるように橋がかかっています。






楼門への石段をのぼりきった左右の石垣の角柱に狛犬が現れ、右側の狛犬は上を向き、左側(写真)は下を向いていて、柱に戯れているようなポージングに遊び心をくすぐられます。







そして拝殿手前の中門には日光東照宮を彷彿とさせる極彩色の彫刻が施されています。みちのくの日光といわれる所以はここでわかります。







参拝後、拝殿の千鳥破風の矢切り部分に虎の彫刻を発見。躍動感溢れる立派な彫り物です。岩木山神社の創建は780年ともいわれ二度の火災に遭い、現存する神社は歴代弘前藩主が建立し400年弱もの間、風雪に耐えたヒバ造りは国の重要文化財にも指定されています。







すっかり心洗われた僕が次に向かったのは、参道のすぐ脇に建つ湯宿「湯元 山陽」さんで恒例の湯浴みタイム(前出イラスト)。正面に木造アパートのように鉄階段がつく昭和の趣き強めな外観に思わず、引き寄せられました。山陽さんの湯はうっすら笹濁りの湯が張る小ぢんまりな湯殿です。浸かると金気臭がふんわり香る湯には、赤茶けた粉粒サイズの湯花が舞っています。






塩ビ管の湯口からは、そりゃもう、ゴキゲンな湯量で注がれます。小ぶりな湯つぼにこの湯使いは嬉しいです。サラスベ感がキモちいい湯は中性の含土類-食塩泉で、じんわりイイ汗が滲みます。






湯尻は湯面と同じ高さに立つ管口から排湯されるシステム。浴槽縁の湯面と接する部分にできた庇状にできた析出物はパリッと美味しいピザの耳のように見えます。







涼もうと窓を開けると、山陽さんの看板ロゴが見えます。このロゴめちゃカワイイです。レトロさと丸みをおびたポップ感が実にグーです。山陽さんは「湯元」を謳ってますが、女将さんの話では、この百沢温泉郷はそれぞれの宿が自家源泉を持っているそうです。







次に立ち寄ったのは、先ほどの「湯元」と謳った宿から徒歩3分。今度は温泉名の前に株式会社を付けた「(株)百沢温泉」さんです。1960年(昭和35)の開業。昨年までは宿泊できる湯宿でしたが現在は宿泊を辞め、入浴施設として営業しています。







広々とした館内は女性スタッフならではのお掃除が行届いた清潔感ある施設です。







湯殿に立ち入ると思わず、「おぉ~」と声があがります。カラメルソースが溶け出した濃厚プリンのようなマーブル模様の床は圧巻です。左よせに大小2槽に区切られた湯船と右奥に1人用サイズの湯船があるレイアウト。







掃除機の吸い口のような形の湯口からドバドバと湯が放たれ、木組みされた湯船の縁からはザワワ、ザワワと湯が溢れ流れています。黄金色に輝く湯と床の析出物とのコントラストが目に鮮やか。まさにビジュアル系温泉。






黄金色の湯は中性の含土類-食塩泉で、塩味、鉄味、さらに炭酸味をくっきりと有し、濃厚な湯だが湯疲れしにくく、浴後の身体は意外と軽やか。湯船はあつめ、ぬるめがあるので好みや気分に合わせ入れます。床へのオーバーフローも多いため、床に横になって浸かる寝湯スタイルも可能。ごろ~んとまったり、極上湯浴みです。






岩木山は地元では「お」を付けて「お山」とか「お岩木様」と呼ばれているほど、古くから津軽の人々の恵みの根源として崇められてきました。松村和子の「帰ってこいよ」の歌いだしの歌詞にも敬意をこめてお岩木山となっているのでしょうね。そんな麓に湧く霊験あらたかな湯を堪能させていただきました。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2019年7月)

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