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執筆者の写真きい

白布温泉 西屋(山形県)p.141

新年があけましたが、コロナ禍においてまだまだ予断を許さない状態が続いています。安心して外出できる日がくることを願って、以前訪れた温泉を紹介します。


米沢市は山形県の最南端に位置し、吾妻連峰のすそ野に広がる米沢盆地にあります。また上杉家の城下町として知られており、現在の街の区画の原型は、上杉家の重臣直江兼続によって築かれました。幕末13代まで上杉家の居城として発展した後、明治9年米沢城本丸跡に家祖上杉謙信を祀る上杉神社を建立しました。







この日は米沢駅到着後、てくてく歩きで上杉神社へ向いました。1919年(大正8年)の米沢大火で類焼し、現在の本殿は明治神宮などの設計者として知られる伊東忠太の設計により1923(大正12年)に竣工したものあります。








アメリカ大統領、ジョン・F・ケネディもが尊敬していたという、十代上杉鷹山公の銅像は「なせば成る なさねば成らぬ何事も ならぬは人のなさぬなりけり」のことばと共に。








鏡内の落ちたイチョウの葉は天の川の如く芸術的









ぽってりサンシュユの実はグミのよう









参拝後、上杉家の絵画、書跡、刀剣、甲冑、武具などの遺品が展示されている宝物殿「稽照殿(けいしょうでん)」を鑑賞。二代景勝公に仕え、高い教養と広い人脈で幾度と上杉家の危機を救った直江兼続公のあの甲冑も見ることができるのです。松坂慶子の「愛の水中花」ならぬ、クインシー・ジョーンズの「愛のコリーダ」でもない、そう「愛の甲冑」でございます。(前出イラスト)。








次に向かったのは、米沢市街地から県道2号線をバスで40分ほどの米沢の奥座敷「白布温泉」。西吾妻山の北麓に湯けむりをあげる開湯700余年の古湯であります。そしてあの「愛の甲冑」直江兼続は早くから鉄砲の威力に着目し鍛冶師たちを招き、この地で火縄銃を密造させていたという歴史があり、当時、鍛冶師たちが寝泊りしていた家が「西屋」で現在も茅葺の屋根の宿として白布温泉にその名を留めています。








軒下にかかる風格ある看板








黒光りする柱と梁に囲われたロビーは囲炉裏が切られた暖かみのある空間。








兼続公へのオマージュともとれる書。









西屋さんの「湯滝風呂」(前出イラスト)は江戸中期(西暦1700年頃)に巨大御影石を組み上げた浴槽は白布最古の湯殿であります。源泉から3本の木樋に導かれ3mほどの高さから滝の如く浴槽に注がれます。毎分400リットルという湯量でドドドドドっと湯面を叩きつけるような低音が湯殿のみならず、館内にまで響きわたります。








叩きつける湯しぶきが、顔にかからないよう塀が立てられています。浴槽の大きさに対し、注がれる湯量が多すぎるため、浴槽からのオーバーフローがスゴイ。湯に身を沈めると流れる川に浸かっているような爽快感。ほんのり硫黄臭のある湯は中性の石膏泉で、やさしめな湯加減に調節され肌にしっとり馴染む気持ちのイイ湯であります。








湯滝の1本は沢水で調節されているので、肩や腰に当てて打たせ湯として利用可能。絶妙な水圧が身体のこりをほぐしてくれます。








あとは手前には上がり湯用の槽があるだけで、カランやシャワーなど一切ない昔ながらの温泉文化を守ろうとする姿勢に感服です。







オーバーフローした湯は浴場外のスノコの廊下の下を通り、外へと排水されるというワイルドなシステムは見応えあります。















隣にある東屋さんの湯にも入らせていただきました。こちらも同様、3本の湯口から注ぎ落す湯滝スタイル。浴槽などのレイアウトもほぼ同じで、これは白布の昔からの湯殿の様式のように思われます。湯は敵温よりやや高めで、白い湯の花がゆらゆらと舞う生き生きとした湯であります。庭園風に石組みさた広々とした露天風呂もあり、標高800mを越えるヒンヤリ澄んだ空気が気持ちイイ。雪囲いされた庭園の木々がティピ―のように可愛く立っていました。







東屋さんは融雪も兼ねているのか、建物の外の道にまで湯が流れていました。素っ裸になって寝湯をしたくなるくらいの適温ですが、確実に通報されるのでやめましょう。









白布で腹ごしらえに入った「そば処 吾妻軒」さん。








「冬限定メニュー白布ラーメン(土鍋ラーメン)」を注文。そば屋なのに何故かラーメンが食べられるという特異な文化をもつ山形県であります。ぽってりと大きめの鶏肉が乗った生唾ゴックンなビジュアルで、細うちの縮れ麺が、鶏ガラ出汁をしっかり絡みとってくれます。あっさりとしているものの、うす味ではない後引く美味しさでした。個人的にも山形や福島で食べるラーメンは大好きで味のバランスが良く、毎日でも食べられるラーメンなんです。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2019年11月)

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