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執筆者の写真きい

熊野古道 第五章(高野山から那智大滝ロングトレイル)p.154


前項に引き続き、古道歩き4日目をお送りします。皆さん、そろそろこの古道歩きに飽きてきてはいませんか。そういわず、しっかりついてきてくださいね。3日目の晩に到着した川湯温泉のキャンプ場で迎えた翌早朝、テントを撤収し6:30オープンに合わせて温泉街の公衆浴場へ向かいました。









キャンプ場から橋を渡って、川沿いの道を10分ほど歩いた場所にある公衆浴場であります。入口には営業中を知らせる赤いパトランプが点灯し、川湯温泉の文字が入った赤提灯といい、公衆浴場というよりも酒場感強めのゴキゲンな入口であります。








朝一番は誰もおらず、貸し切り状態でした。丸1日分のくそ忌々しいオッサン臭をしっかり洗い流し、ゆっくり湯に身体を沈めます。少々熱めの湯ではありますが、シャキッと目を覚ましてくれます。









無色透明の湯は仄かに硫化水素臭のする単純泉で、時間とともにカチコチに懲り固まった身体をやさしくほぐしてくれるような感覚に恐らくアホ面になっていたに違いありません。





湯上り後、受付前の細い通路のベンチでコーヒー牛乳と菓子パンで朝食を済ませ、雨が降りだしたのでレインウエアを着て、荷にリュックカバーを被せ、レインスパッツを装着していると、僕の行動を見ていた番台のおばさんがひと言、「好きやから、できるんやね」。雨の中これから山に入って古道歩きをするのを察したのであろう、何気ないおばさんの一言がやつれた僕のハートにグサッと刺さった。

公衆浴場を後に大塔川に湧く湯を見物しながら、4日目の古道歩きをスタート(7:35am)。公衆浴場の対岸には露天風呂もあります。










川側に下りてみると、水面から湯けむりが上がっています。まさにリッチー・ブラックモアのあのリフが聴こえてくるかのロケーションであります。夏は河原を掘って露天風呂をつくって川遊び、冬は川を堰止めて川そのものが広大な露天風呂となる「仙人風呂」が名物なんです。








だれかさんお手製の一人用の湯つぼもあり、手を入れてみると適温なんです。「気持ちええやつやん」、「一日、ここで遊びてぇ~」などの心の叫びを押し殺して見物。前日、明るいうちに到着する予定で、水着も用意していたのですが・・・とほほ









さらに僕好みの古い木造の湯宿にも後ろ髪を引かれつつ、「とめてくれるなおっかさん」とつぶやき前に進むのでありました。









キャンプ場方面に戻るように進み、そこからさらに2kmほど歩いて請川(うけがわ)という古道の入り口から再び山に入ります(8:30am)。前日までの参詣道小辺路(こへち)に変わってこの日から中辺路(なかへち)を歩きます。








この小辺路(こへち)、中辺路(なかへち)などの名前の響きが、どこか異性への身体的部位や装飾に異常な執着を示すいわゆる(手フェチ)、(足フェチ)などを想像させるのは僕だけでしょうか・・・ なんてしょうもない想像をしている場合ではないのです。この日も(小雲取・大雲取越え)という2つの峠を越えなければなりません。








コロナ禍の影響もあるのでしょうが、小辺路の山中、誰一人ハイカーと出会うことはありませんでしたが、中辺路に入ると九州からの年配のお姉さま2人組やカリフォルニア出身のアメリカ人女性などのハイカーたちと出会いました。








請川から緩やかに高度を上げること約2時間、絶景ポイントの「百閒ぐら」に到着(10:39am)。霧に煙る向こうに何層にも重なった山々を見ていると、紀伊山地の山深さをリアルに感じるのです。









小雲取越えの最高所、桜峠を経て、途中、尋常じゃないほどの雨にも遭い、東屋がかかる桜茶屋跡で暫し休憩。この日も既に膝は悲鳴を上げております。









桜茶屋跡から小和瀬の集落に下山して車道を進み、再び小口集落の大雲取登山口から「越前峠」を目指します(14:50pm)。これからの峠越えにしてはかなりのオーバータイムであります。








30分ほどで熊野の神々が集まり談笑したとされる円座石(わろうだいし)に到着。疲労困憊で肝心の石の写真を取り忘れています。








中辺路に入ると熊野古道らしい苔むした石畳の道が多くなるのですが、これがまた滑るんです。石の表面に安易に体重をかけると足が後ろに滑って前のめりに倒れます。ヘトヘトなうえ大型リュックを担いだ状態で一度転ぶとかなり体力を消耗します。








膝の痛みに耐えながら、江戸時代には10数件の旅籠があったとされる「楠の久保旅籠跡」を経て、さらに歩みを進めます。苔に包まれた石地蔵は熊野古道の道中で行き倒れた人を弔うため祀られています(16:10pm)。





ここから、この日テント泊予定の地蔵茶屋跡まで疲労困憊で写真を撮れておりませんので、絵と文でお伝えします。↓↓↓





地蔵茶屋跡には休憩舎があり鍵がかかってなく、すんなり入ることができた。先客もいない貸し切り状態で、雨風をしのげ、灯りが点くのが大変有難かった。さらに、向かいには自動販売機もあり、水切れで脱水症状だった僕は飛びつくように、見たこともないブランドのコーラを購入、ゴクゴク喉に流し込んだ。100円そこそこで慰労してくれたこの文明の偉大さを改めて痛感したのであります。この日は約22kmを歩き、スタートから11時間もかかって4日目を終えました。次章はいよいよ古道歩きのフィナーレを迎えます。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2020年10月)





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