イラスト:吉村家跡防風林。三浦峠の中腹にある樹齢500前後と推定される杉の巨木は旅籠を営んでいた吉村家の屋敷の防風林として植えられたもの。
前項に引き続き、古道歩き2日目をお送りします。初日に泊まった萱小屋跡の避難小屋では結局、翌朝まで誰も来ることなく(ジェイソンも)、ゆっくり休むことができました。翌朝は3:30amに起床。熱々のヒーコー淹れて、パッキング(荷造り)と小屋内の掃き掃除、さらに小屋内にある募金箱にお礼の宿泊料を入れて、いざ出発。(5:30am)
まずは小辺路(こへち)最初の峠越え、伯母子(おばこ)岳をめざします。暗い中、ヘッ電(ヘッドライト)点けて急登続きの道を進んで約2時間、伯母子峠に到着。前日の天気とは打って変わってゴキゲンな朝を迎えました。
伯母子峠にはトイレと簡素な避難小屋があり、その小屋にザックをデポして20分ほどの伯母子岳(1344m)山頂へ。
山頂からは護摩壇山をはじめとする奥高野の山々、大峰山脈のパノラマが開けております。
山頂から再び伯母子峠に戻り、五百瀬(いもぜ)方面へ下山をはじめます。峠から1時間ほど自然林を下った場所に開けた平地に石垣跡が残る「旅籠上西家跡」に到着する。(9:00am)
江戸初期には街道上の旅籠として存在していたといわれる上西家。その昔、高野詣(こうやもうで)の巡礼さんが大勢泊まり、夜更けまで御詠歌が止まない賑やかな旅籠だったそうです。そんな往時の佇まいをこの平地に組み立て、想像するのも古道歩きの楽しみです。
上西家から尾根道に入り、1時間ほど進んで水ヶ元茶屋跡に到着。(10:05am)前日の膝痛がここでリヴァイヴァル。ここには、微妙に笑みを浮べたような表情のお大師様がおります。膝痛に顔を歪める僕に「まだまだ序の口」とでもおっしゃっているようなお顔です。
つづら折れの石畳をすすんで「待平屋敷跡」を経て、さらに急坂を下り、伯母子岳登山口の車道に降り立ちます。(11:39am)
「日本で一番広い村」といわれる十津川村に降り立ち、そこの五百瀬(いもぜ)地区という山深い小さな集落を進み、小辺路(こへち)2つ目の峠越え、三浦峠をめざします。
バス停「三浦口」の先を右に折れ、吊り橋の船渡橋を渡って三浦峠の登りにかかります。
が、しかし、ここでハプニング。船渡橋を渡ってから、暫く歩いた場所で古道を外れていたことに気が付いたのです。山屋のクセで、木に巻いてある赤いテープを道標と勘違いし、別の杉林に入っていったとです。
どうやら営林署の伐採区域に入っていったようで、赤いテープは次の伐採予定の印だったと思われます。膝の痛みを耐えつつ、大きく40分ほどロスタイム。トホホ・・・。再び古道に戻り、「吉村家跡防風林」にたどり着く。(前出イラスト)(13:24pm)
永年の強風、雨風に耐え続けた結果の賜物か、一種異様な佇まいは、燃え盛る炎のようであります。ぼうっと見上げて観ると、神さまはいるんだなぁと感じさせてくれます。
さらにつづら折れの急登を進み、湧き水「三十丁の水場」で喉の渇きを潤し、三浦峠に到着したのが(15:13pm)。膝痛のため距離が稼げず、予定よりかなりの遅れであります。トホホ・・この日、予約していた十津川温泉の宿に到着の遅れを電話で告げたとです。
峠から南へ、西中方面へと下山をはじめます。古矢倉跡、出店跡を経て、樹林帯をひたすらすすんで、「矢倉観音堂」に到着。(16:53pm)
さらに20分ほど下ると趣きある古民家(廃墟?)が建つ場所に降り立つ。そこから舗装道路と古道歩きを交える歩きとなるのですが、ここでまたもやハプニング。「崩落個所有り。通行止め」看板の遭遇や暗い中、案内を見過ごしてしまったのか、西中のバス停を探すのにかなりのロスタイム。
ヨレヨレになりながら、西中バス停に到着。(18:09pm)バスは14時までしかなく、ここから、十津川温泉までの10kmの暗い舗装道路をひたすら歩くとです。トホホ 宿に遅くなる事を告げ、国道425号を南下します。国道といっても真っ暗なので、ヘッ電装着のままです。
膝痛に加え、足裏の皮がめくれ、足を置くたび痛かとです。♪こんなはずじゃ~なかったよね♬~と、トシちゃんの「悲しみ2ヤング」の歌い出しが頭をかすめ、もはや国道ならぬ酷道であります。十津川温泉で予約していた民宿に到着したのは(20:30pm)。遅い到着でも優しく女将さんが迎えてくれました。この日、道迷いなども含め、約33kmを歩き、萱小屋跡のスタートから約15時間もかかってしまいました。
部屋に案内され、何もしたくないぐらい疲労困憊でしたが、鞭打って、屋上にある露天風呂へ四つん這いになって階段を登り、湯に浸かりました。両足の爪は内出血で真っ黒に変色、足裏の水膨れでできた皮はめくれ、湯にさらすのも一苦労。古道歩き2日目にしてこんな状態ではお先真っ暗でしたが、場末のスナック如く、イルミネーション灯る露天の湯に身を委ね2日目を終えました。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。次章につづく。(訪2020年10月)
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