東京の奥座敷、湯河原温泉は隣の熱海の巨大ホテルが林立するのに対し、日本旅館主体の古式ゆかしい温泉街の風情が残る温泉地であります。湯河原駅から千歳川の谷を遡るように温泉街が形成され、中心街の藤木橋(バス停)よりほど近い場所に今回紹介する湯宿はあります。
藤木橋より道幅の狭い急坂を50mほど進んだ高台に建つ赤い提灯がさがった亀屋旅館さん。亀屋さんは当ブログでも以前、立ち寄り湯で紹介した宿ですが、今回は宿泊でのレポートであります。
館内は昭和レトロな趣き。フロントには古い調度品や置き物が飾られ、もはや骨董屋の領域であります。そして亀屋さんの歴史が詰まった一角でもあるのです。
客室へはフロントから階段を上がり、さらに崖を這うように造られた階段通路を進んだ先にあります。亀屋さんでは現在、宿の半分ほどの9室が使用されており、全てが部屋に内湯が付いたタイプ。宿泊は週末のみの営業形態をとっています(要問合せ)。
宿のご主人の八亀さんは以前、イギリスのスポーツカーメーカー、ロータス・ヨーロッパのディーラーでもあった関係で、セナをはじめ、ナイジェル・マンセル、ジャッキー・スチュアートなどの名レーサーたちも来館しているのだそうです。
いたってシンプルな和室のお部屋ではありますが、組子障子などの細部にこだわった純和風の意匠がみられ、天井には装飾などにつかわれる高級杉材、神代杉の虫食いが施されています。
そして部屋の奥の扉の先には内湯があるのです。小ぶりな岩風呂ではありますが、蛇口を捻ると亀屋さんの自家源泉の湯がそのまま出てくるという贅沢な湯使いができるのであります。
しっかりとした鉱物臭とほんのり塩味を感じる湯は優しい浴感であります。温度調節は自由自在、一日中入れるのがうれしい。あのセナもこの湯つぼに身を沈めたのかな~・・・
夕食までの時間、部屋で湯に浸かり、湯河原ブランドのお酒をちびちびやりながら、まったり過ごしました。次回、亀屋さんでの盛り沢山なお食事、名物のタイル張りの素敵な浴場をご紹介します。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2021年3月)
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