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執筆者の写真きい

温湯温泉 飯塚旅館(青森県)後編 p.137

暗く長いトンネルの先にようやく光が見えてきような気がしますが、まだまだ油断は禁物です。今までどおり小まめな手洗い・うがいを基本に、密閉、密集、密接を避け、うつらぬ用心、うつさぬ気配りで、いつかまた湯の町で下駄を鳴らして湯巡りできる日を楽しみに更新を続けます。

前項に引き続き、温湯温泉 飯塚旅館を紹介します。








大正時代に建てられたという、檜造りのどっしりとした佇まいには華があります。二階建てだが、三階分はあろうと思われる高さです。木組みが美しい深い軒や、正面に緩やかな(むくり)がついた破風の玄関、腰壁に施された茶タイル、そして二階部分の両脇の戸袋に描かれた屋号の看板などに伝統建築の粋を感じます。







看板を兼ねた戸袋は漆喰、鏝(こて)で立体に描かれた装飾看板。左官の腕が光ります。サイドにある「こうじや」とは以前は味噌や醤油を製造・販売していたというなごりだそうです。







飯塚旅館では一階の5番の部屋を朝食付きで宿泊させていただきました。三階分はあろうと思われる建物なので必然と部屋の天井も高くなります(前出イラスト)。そして年季の入った砂壁のお部屋には床の間があり、違い棚を備えた床脇には2体の津軽こけしが鎮座。津軽こけしは、ここ温湯温泉を中心に広がり名工、盛 秀太郎により「温湯こけし」がつくられました。津軽藩の家紋である牡丹が描かれ、赤や青のボーダー柄以外にアイヌ模様も描かれるハイカラなこけしです。このハート型りんごが描かれたこけしは、ゴキゲンな一品で2体ともめっちゃ笑ってます。







そしてお部屋の鍵は鳴子系こけしを連れ添っていました。








飯塚旅館の浴場は廊下で繋がっているもの独立した湯小屋です。床と腰壁の御影石タイル以外は全てヒバ造りの湯殿に足を踏み入れると、やさしく香るヒバ・フレグランスに鼻腔をくすぐられます。ヒバの湯船に清らかな湯がなみなみと満たされた光景に僕のハートはハイ・ボルテージ。







湯底のヒバの板目までクッキリとわかるクリアな湯はアルカリ性の食塩泉。仄かにアスファルトのような油臭を有し、肌あたりがやさしいあたたまりの湯であります。







吹き抜けの天井にもふんだんにヒバ材が使われ思わず、叫んでしまいます「Viva!」(万歳!)・・・清潔でとても気持ちがイイ湯殿です。







浴場に繋がる廊下に置かれた特大サイズの瓢箪に描かれた書には(やさしい目 和やかな顔 温かいことばが一隅を照らす)とありました。ぎすぎすした今の未曽有の事態にドンピシャなお言葉であります。






翌朝も女将さんから頂いた入浴チケット持参で共同浴場へ。共同浴場の裏手にある飯塚旅館からは回り込むように歩きます。







早朝から綺麗な湯を堪能し、爽やかな汗を流しました。








部屋に戻ってお楽しみの朝ごはんは、女将さんが部屋まで運んでくださいました。ガツンと塩の効いたサケ、温泉玉子をメインに朝からガッツリ頂きました。ごちそうさまでした。







小ぢんまりとした湯治場風情を残す温湯温泉。何ものにも媚びない姿勢がこの独自の湯情や景観を生み出しているように思えます。やさしい湯とこけしの笑顔が浮世で溜まったモヤモヤをきれいに洗い流してくれます。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2019年7月)

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