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執筆者の写真きい

小野川温泉 ラーメンと湯巡り(山形県)p.144

前項に引き続き米沢の温泉を紹介します。今から1200年前に平安時代の美人の象徴、小野小町が父を探し京都から東北に向かった途中で病に倒れ、この地の温泉に浸かり病を治したという開湯伝説をもつ小野川温泉。メタケイ酸を豊富に含む化粧水のような湯は美人の湯として知られ、美しい人はより美しく、そうでない方もそれなりになるというお湯らしいです。しらんけどぉ

そんな小野川温泉では冬場、その美人の湯を利用して栽培される「小野川豆もやし」。毎年11月になると温泉街の外れに木で骨組みがつくられ、その周囲をカヤとブルーシートで囲ったテントのような室堀小屋(むろほりこや)が建てられます。小屋内では溝に温泉を通して温室をつくり、室(むろ)とよばれる木箱で豆もやしが栽培されます。









そんな冬期限定の豆もやしを米沢ラーメンにトッピングした小野川名物「豆もやしラーメン」を頂けるお店が「龍華(りゅうげ)食堂」さん。小野川温泉に到着と共に前のめりで入店。昼時のほぼ満席状態の店内で、チンカチンカに冷えたポッサロのルービーと共に名物を注文。









登場したのは鶏ガラ、煮干しなどで出汁をとったあっさり醤油系のスープに細打ちの縮れ麺という、いかにも米沢らしいラーメンの中央に小野川の温泉玉子(ラジウム玉子)、そしてチャーシューやメンマといった主要メンバーたちを邪魔することなく、雅な雰囲気でサラリと横たわる豆もやしであります。想像していたシャキシャキ食感は裏切られ、嚙み応えのゴリゴリ食感。噛むほどにもやしの濃いうまみが口の中に広がり、スープとの相性バツグンで思わずニンマリ。出会うべくして出会った運命のラーメンなのです。









次に向かったのは温泉街の中心にある共同浴場「尼湯」(前出イラスト)。唐破風の玄関に切り妻屋根という、アカデミックな外観だが、中は白いタイル張りで意外と今どき。脱衣場と湯殿がひと繋がりになった浴場内は無人ながらもお掃除が行届いております。









あまりの熱さに加水して浸からせていただきました。クリアな湯は中性の含硫黄-食塩泉。湯の中では消しゴムかすのような湯花が舞い、ほんのり硫化水素臭を感じる効きそうなやつであります。浴後はいつまでもポカポカでお肌しっとり、美人の湯と呼ばれる所以を肌で感じ、それなりに仕上がった僕でありました。









脱衣場の白く冷たげなタイルの床は意外や意外、床下に温泉を通しているので、ポッカポカ。










宿の湯にも2軒入りました。先ずは1軒目、扇屋旅館さん。









つぎに高砂屋さん









訪問した日がちょうど豆もやしの販売初日だったようで、以前から食べてみたかった豆もやしラーメンにありつけました。小野川の湯は浸かって美しく、食べて美しくの名湯であります。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2019年11月)

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