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執筆者の写真きい

夏油温泉 元湯夏油(岩手県)後編 p.132

本気と書いて「マジ」、犯人と書いて「ホシ」、夏油と書いて「ゲトウ」と発します。前項に引き続き、夏油川の上流、標高620mの高地にあるみちのくを代表する秘湯、元湯 夏油の湯を紹介します

元湯 夏油は渓流沿いに点在する湯小屋が名物で、全てが自然湧出する温泉は生き生きとした生まれたて湯なのです。






渓流沿いに行くには、先ず宿泊棟を出て、宿泊棟と湯治棟が並ぶ鄙びが素敵な露地を進みます。






突き当りまで行って左に折れると、渓流沿いに下る階段のアプローチを進む。







途中に女性専用の湯小屋「滝の湯」とその先に「大湯」(混浴、女性専用時間有り)の湯小屋が現れます。







大湯(前出イラスト)は丸太で組まれた屋根付きの湯小屋ではあるが、渓流側が開け放たれた絶景のロケーション。コンクリート造りの15人サイズの湯つぼに青みがかった灰色の湯が張っています。岸側の岩肌の角からアチチな湯が自然湧出する場所に湯つぼをつくった極上の湯であります。湯加減といい、湯の鮮度といい、肌にズキズキ入り込んでくるようなパンチ力を持っています。ほのかに硫黄臭がある食塩泉で、一番人気なのが如実に伺えます。






涼む風もまた極上です。はっぴいえんどの「風をあつめて」なんぞ聞きたくなるロケーション。看板にあるように気持ちよすぎてある意味キケンです。






山からの雪解け水が激しく流れる様は見ていて飽きません。







大湯から少し下がったところにある「疝気(せんき)の湯」(混浴)は渓流沿いに湧き出る扇型の湯つぼに簡素な脱衣場があるだけのワイルドなやつ。イラスト奥が大湯の湯小屋。湯に身体を沈めると目線が川面とほぼ同じになるため川との一体感を楽しめます。宿泊時終始お湯が少なめだったので、半身浴状態で長湯をしていました。






湯底の鉄板からブクブクと湯が自然に湧出し、さらに岩肌のすき間からもあちこちでブクブクしてます。






さらに下流にある「真湯」(混浴、女性専用時間有り)も大湯のような湯小屋で15人サイズの石造りの湯つぼ。ほんのり出汁が効いたような塩味があり、肌に馴染むやさしい湯です。







対岸には「目(女)の湯」(めのゆ)の湯小屋が見えます。宿泊時、見ての通り橋が崩壊していて入浴することはできませんでした。







元湯夏油の朝はバイキング形式で頂きます。







早朝からガッツリ湯浴みをしたので、ガッツリ頂きました。







温泉玉子を出されると必ずやってしまうやつです。間違いないです。







館内にかけられた昔の元湯 夏油の写真。今から40~50年前までは、米や野菜などを持って急坂が続く山道を登って湯治にやってきていたそうです。写真右の馬にもビックリ。馬に家財道具なんかを乗せてこの山深い地にやってきたのかな・・・部屋の仕切りは障子一枚で、プライバシーもクソもなかったろうけど、互いをいたわりあう人間らしい営みがあったんだなぁなんて思いを巡らせた。






営業初日の翌朝、巣づくりに勤しむイワツバメの大群を見ることができました。宿泊棟や湯治棟の軒先に巣をつくるのですが、平地の泥をつまんでは接着剤代わりとなる唾液を混ぜ、軒先と平地を激しく行ったり来たりするイワツバメの光景に熱いパッションを感じずにはいられませんでした。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。(訪2019年5月)

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