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執筆者の写真きい

熱海温泉 山田湯(静岡県)p.103


静岡県の東端、伊豆半島の付け根に位置する大温泉地、熱海温泉。発見は奈良時代、あるいはそれ以前ともいわれている。「熱海」の語源は海中に熱湯が湧き出していたことに由来し、江戸時代には将軍や大名の入湯があり、その後、将軍家の献上湯として熱海から江戸まで樽に詰めた温泉を人力で運搬し入浴するという御汲湯(おくみゆ)が盛んに行われた。温泉好きの方なら、一度は目にしたがあるかと思う、あの拷問にしかみえない「御用汲湯の想像図」という絵を。温泉を詰めたドデカイ樽をいかだの上に乗せ7.・8人で神輿担ぎのように運んでいる「ほんまかいなっ!」とツッコミ入れたくなるやつ。とくに八代将軍吉宗の頃は8年間に3643樽も温泉がはこばれたそうですよ。


現在では海岸線から山手にかけて多くの宿やホテルが林立し、別荘や企業の保養所も多いイメージの歓楽色の強い温泉地だが、中心街から少し離れた和田町という住宅地に素朴な共同浴場がある。左の扉が男湯、右の引戸が女湯。


温泉旅館「金城館」の向い側から初川という川に沿って、入り組んだ住宅地を進んだ先にひっそりと佇む「山田湯」は70年ほどの歴史がある共同浴場。


看板などは皆無なので共同浴場というよりも山田さんちのお風呂と表現したほうがしっくりくる。男湯の下駄箱上に鎮座する数珠をもった招き猫が迎えてくれる。


手描きの暖簾もいい味出してます


いたって簡素な白塗りの脱衣場


白壁で小ぶりな湯殿は腰壁から床、浴槽にかけてブルー系のタイルが施されたシンプルなやつ。3人サイズの浴槽にはクリアな湯が張る。男女を仕切る壁には「水車小屋と富士山」のモザイク画が施されている。適温に調節された湯は鉱物臭あるクッキリ塩味の食塩泉はジワジワと汗が噴き出します。湯は常時注がれてはいないが、来た客が蛇口をひねって好みの湯加減に調節する。(先客がいる時などは声かけして行ってください。)


浴槽内にホースを垂らした蛇口からは50℃近い新鮮な熱海の湯が出る。浴槽も小さめで鮮度のいい湯を味わえるのです。


浴槽縁の大きさを無視したタイルの修正跡なんかも愛おしく感じます。何でもかんでも新しくするんじゃなく、こういった自己流の手仕事が時を経て妙味となるんだなぁ。


モザイク画の持つ柔らかく、やさしい風合いがいいですね。どんなに怖い絵でもモザイク画で描けば可愛くなるんだろうなぁ。四谷怪談のお岩さんなんかも・・・。


熱海に行く際は、ほぼ利用させていただくのだが、毎度やさしい女将さんの声かけがうれしい。建物の脇にお社があります。昔からの土地の神様だそうです。


お社の真下に立て掛けられた石桶。女将さんの話ではこの石桶、源頼朝が乗っていた馬が足を洗ったとされる桶だそうです。思わずしっかりお参りさせていただきました。


山田湯さんの湯でたっぷり汗をかいた後、行きたくなるラーメン屋があります。駅前商店街外れの「雨風(あまから)本舗」さん。


たっぷり発汗した後のチョット気だるい身体にベスト。しょっぱめのスープを縮れた平打ち麵がしっかり拾ってくれます。沁みますねー。この「山田湯」からの「雨風本舗」は泳ぎ遊んだ後の海の家で食べるあのラーメンやカレーに似た感覚なのです。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。


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