滋賀県北東部(湖北地方)に位置する長浜市は豊臣秀吉が城下町として整備されて以来の湖北の中心地。東端には滋賀県と岐阜県の境に堂々たる山容で日本百名山にも選定される伊吹山(1377m)が立ちはだかる。そんな長浜の奥座敷といわれる須賀谷温泉は戦国時代には小谷城主、浅井長政とその妻、お市の方(信長の妹)も湯治に訪れ戦国武士の傷を癒したとされる歴史ある温泉だ。
左右小高い山に挟まれた長閑な場所に佇む中規模旅館の佇まい。玄関先にはゆかりのある浅井家の顔出しパネルが設置されている
浅井(あざい)の湯の名がつく浴場は男湯が「長政の湯」、女湯が「お市の湯」となっている。薄暗くムーディな空間に御影石とタイル造りの浴槽が2つ並ぶ湯殿。手前にはクリアな湯が張り、奥側には赤味噌をといたような色の湯が張る。赤味噌の湯は18.5℃の鉱泉を加温し、かけ流しにした浴槽。見た目の色から強い鉄臭を感じると思いきや、ほぼ無味無臭。適温に調節された湯はサラリと軽やかな浴感。隣のぬるめに調節されたクリアな湯(沸かし湯のようです)と交互浴することで温浴効果が高まるようです。浴後はなかなか汗がひかないので裸のまま脱衣場で一休みした。
じわりじわりと絞り出されるように浴槽に注がれます
湯殿の奥の扉から露天風呂に抜けられる。屋根のかかる石組みされた5・6人サイズの湯壺。
湯は無味無臭で沸かし湯だと思われる。火照った身体で湯殿から小蔭の露天に出ると外気がキモちE
ロビーで額に収まったレトロな広告発見。「商売繁栄双六」と題された双六は昭和八年、元旦に発行されたものらしく、今でいうところの新聞の折り込みチラシのようなもの…? 近郊の商店や酒屋さん、洋服やさんなどの広告が双六仕立てにレイアウトされ、なんと中心の「上がり」の箇所に須賀谷温泉の広告が。シャレてます。
湯上り後、長浜名物「焼鯖そうめん」を食す為、長浜駅近郊に車で移動。秀吉が初の城持ち大名となって開いた城下町。江戸時代には北国街道(写真↑)の宿場として栄え、紅殻格子(べんがらごうし)や虫籠窓(むしこまど)のついた家々が立ち並び往時の面影を今に伝えている。
焼鯖そうめんの専門店「翼果楼(よかろう)」に到着。白壁に格子のついた趣きある佇まい
初の焼鯖そうめんに胸躍る
太い梁が渡された2階の座敷。薄暗いムーディな空間で注文した焼鯖そうめんを待つこと6・7分
登場しました。
あまりの美しいビジュアルが気絶するほど悩ましい。焼鯖を甘辛く煮込み、その煮汁でそうめんを煮た郷土料理だ。想像していたよりもあっさりとした味付けで、煮汁で煮たそうめんはベタベタしていると思いきや、清々しいほどにスルスル吸える。鯖も一度焼いたものを煮ているため鯖の味噌煮のようなしっとりとした食感ではなく、ドライでホロホロとした食感で甘辛さも軽い。そうめんを一口すすって、ほぐした鯖を口に入れる、うぅーん、これはいける。さらにテーブルにある山椒を軽く振って食すとぼくのハートはロックオン。
一緒に注文した焼鯖寿司。酢の酸味が軽やかで、いくらでもいけそうな感じです。鯖寿司がダメな方でもサヴァビアーン!
さらにスーパーで購入したもうひとつの長浜ブランド「サラダパン」。滋賀県の大型スーパーならほぼ購入可能。刻みたくあんにマヨネーズを和えたものをコッペパンに挟んだ滋賀県民のソウルフードだ。殆どたくあん臭はなく、バターの効いたコッペパンから繰り出されるシャキシャキ感が絶妙です。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。