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執筆者の写真きい

阿曽原温泉 阿曽原温泉小屋(富山県)前編 p.53


遅ればせながら昨年2016年10月の連休に温泉トレッキングに出掛けた模様を前編、後編の2回に分けてお送りします。東京から夜行バスで後立山連峰の大自然に囲まれた黒部ダムの観光始点となる扇沢駅へ。早朝、4:15に到着後、黒部ダム行きの6:30始発のトローリーバスを真っ暗な駅の外で待った。関西電力が経営するトローリーバスは2本のポールで架線からの電気を得て走るバスで長野と富山の県境がある山脈を貫く関電トンネル内を走り15分程で黒部ダムに到着する。


黒部ダム展望台に向かう観光客と分かれ「内蔵助谷」の標識を目印に外に出る。あくび連発の眠い中、トレッキング初日、黒部ダムから阿曽原温泉にむけスタートした。(6:55)


渓谷に下るようにつづら折りの道を進むこと10分、黒部ダムの迫力ある外観が見える

黒部ダムから阿曽原温泉のルートは「下ノ廊下」と呼ばれる峡谷の登山道をいく。「旧日電歩道」の呼称を持つこの道は水力発電のダム建設調査のため日電が約90年前に垂直の岩壁をコの字型に削って通された道なのだ。人っ子ひとりがやっと歩ける道幅はそりゃあ恐ろしい高度感を伴う。この道は夏まで残雪に閉ざされるため歩ける期間は9月の下旬~10月下旬までの約1ヶ月と短い。


ポツポツと止みそうで止まない雨にさらされながら2時間程で対岸に「新越の滝」が見えてくる。(8:55)


この辺りから道は険しくなりワイヤーが架かる岩壁の道となってくる。ぼくが歩いた2日後、この辺りで転落したハイカーが脚を骨折したという情報が入っている


振り返ってルートを見る。小さくて分かりづらいが写真中央のコの字型に削られた岩屋根のチョット左上へ目をやると人が歩いているのがわかる


さらに進むと別山谷出合に着く。この辺りは残雪が多く道を迂回するように梯子が架かる道を行く(9:20)


ここから深い渓谷美を魅せる「白竜峡」さらに「十字峡」に至るのだが雨の存在も気になるように降りだした。十字峡を過ぎる辺りから次第に秋色になった木々が増える


さらに「半月峡」辺りからは高度を増し、オシッコちびりそうな剣呑な道が続く。広角レンズ等のショットが出来ず、今ひとつ高度感がない写真でスミマセン


疲労のピークを迎える「S字峡」辺りから対岸の山肌にNHKのキャラクター「どうもくん」の口のようにパックリと開いた黒部川第四発電所の送電線引出口が見えてくる


その後、東谷の揺れに揺れるオシッコちびりそうなナガーイ吊り橋を左岸から右岸へと渡り車道を進むと仙人谷ダムに出る。堰堤を渡ると道はダムの施設内に入る。坑内からは硫黄臭香る熱気が充満する。いわゆる高熱隧道だ。


レインウエアを着るポイントを逃し、びしょ濡れで冷たくなった身体にはありがたかった。このトンネル内でレインウエアを着、坑内の「旧日電歩道」の案内を目で追いながら施設を抜けた。登山ルート上で人工物を通るのがとても面白い。


職員宿舎の建物を見ながらさらに進み急登の登山道となる。これを越え、急登を登った同じ距離を右へ下ると阿曽原温泉小屋(イラスト↑)に到着だ。(13:50)歩行中、幾度か岩壁の上から滝の如く流れ落ちる水を受け、シューズ内は水没、濡れ鼠となり辿り着いた。この日は6時間55分、約19kmのトレッキング。到着後、テン場で荷を解きクタクタの身体に鞭打ってテントを設営し阿曽原の湯壺に向かった。次回、後編へ。では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。

※このトレッキングはしっかりとした登山装備が必要です。かなりのロングコースで危険箇所も多く登山経験の浅い方にはおすすめできません。下ノ廊下の通行可能時期は短く崩落事故などの影響で通行出来ない年もあります。利用の際は登山情報で通行の可否を確認する事。小屋に遅い時間に到着するのは小屋にとって大変迷惑な行為です。時間に余裕をもった登山計画をたててください。

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