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高天原温泉 高天原山荘(富山県)⑰

執筆者の写真: きいきい

遅ればせながら今年の9月のシルバーウィークに「温泉トレッキング」に出かけた模様を2回(前編、後編)に分けてお送りしたいと思います。


東京から深夜バスに乗って翌朝19日の5時頃、北アルプス、穂高連峰の登山基地でもある岐阜県、新穂高温泉に到着。この日は、今まで見たことのない数の登山客が、新穂高温泉に集結。寝惚け眼をこすり、冴えないツラとアタマのまま、日本で一番遠い秘湯といわれる「高天原(たかまがはら)温泉」むけて歩き始めた。(5:40スタート)


わさび平小屋を経て鏡平に(9:15)到着。「鏡平山荘」前の鏡池からみる穂高連峰の展望は有名で山岳写真を撮る最高のポイントだが到着時、雲がかかり、見ることができなかった。

しかし「鏡平山荘」を出発し弓折岳の稜線にでたころには雲がはけ、後ろを振り返ると、焼岳、乗鞍岳、さらにその奥には御嶽山の姿が望めた。


色付き始めたナナカマドが癒してくた


穂高連峰もくっきりと見えだした


双六小屋に(11:07)に到着。その後、中道ルートを選択し長野県、富山県、岐阜県の3つの県境、「三俣蓮華岳」に(13:10)登頂。目前には鷲羽岳の雄姿が。

その後、三俣山荘に(13:50)下り、初日のトレッキング終了。約8時間10分のトレッキングだった。この日はテント泊。到着時すでにテン場は9割ほどが埋まっていたが時間が経つにつれ、テント泊の登山客が続々と押しかけ、しまいには幕営場所以外で張る登山客も多数いた。

翌日の20日、いよいよ今日は高天原温泉だ。まだ夜が明けない5時にテントを撤収し三俣山荘をあとにする。いったん黒部の源流部に下り、日本最後の秘境といわれる「雲の平」へ向かう。


黒部川水源地標


祖父岳(じいだけ)の西側を回り込むように進むと標高2600mほどの高原状の雲の平が見えてくる。


紅葉したチングルマ。その先には雲の平山荘。



雲の平山荘(7:40)到着。

雲の平から標高差500mを一気に下る事約2時間半。前日から13時間20分かけてようやくたどり着いた「高天原温泉」のある高天原山荘。(10:10)山小屋界の赤い彗星とでも呼ぼうか、無駄に赤い。


赤い彗星は営業期間が7月上旬から9月30日までの3ヶ月と短い。

高天原温泉(からまつの湯)は山荘から10分ほど歩いた黒部川支流の温泉沢に湧出していて沢沿いに3つの湯があり男女別の露天風呂と混浴の湯壺だ。沢に到着すると、まず目に入るのが混浴の湯壺。


沢沿いというよりも沢の中に造られたようなワイルドなやつ。3人サイズの岩組された湯壺にはうっすら白濁した湯面に澄み切った空のブルーを映写し美しい色を放っていた。脱衣場はなく、湯壺の外にスノコが置かれている場所で脱ぎ着するしかなく、まる見え状態。湯は温めでほんのり硫化水素臭(タマゴ臭)がし2日歩いてたどり着いた者を優しく包み込んでくれるような軽やかな湯。瀬音を聞きながらの湯浴みは開放感があり思わず長湯してしまう。


男湯と女湯は混浴の対岸にある。男湯は岩組された4・5人サイズの湯壺で左手になみ板とすだれで囲った簡素の脱衣場がある。適温の湯は2日間の日焼け(首裏とふくらはぎの)をピリピリと刺激してくれる。2本の黒いホースからそれぞれ熱めと温めの源泉が注がれていてたくさんの湯の花がゆらゆら舞っていた。


湯に浸かりながら正面にある秋色に色付き始めた斜面を眺めながらの湯浴みは2日間の凝り固まった疲れをすんなりほぐしてくれた。

高天原山荘にはテント場がなく、いつもテント山行のぼくもこの日は登山客で混み合うのを知りながら止むを得なく宿泊。ひとっぷろ浴びて小屋に戻るとイラスト入りの可愛いタッチで書かれた恐ろしい告知を目にする。


この日は運悪くぼくの隣人はいびきが強烈で途中、隣人に足を向けるかたちに逆さになってポジションを変更。すると今度は、誰かさんの濃厚な足の匂いが鼻をつく。茹でたてのそら豆のような濃厚なやつだ。内心、温泉に入っているはずなのになぜ?もしや、2日間歩き続けた靴下を履いて寝ているのか…?

結局、人が混み合う密閉感の中、隣人のいびきとそら豆フレグランスに包まれ1時間も熟睡する事が出来なかった。そしてこれがぼくの記念すべき小屋泊デビュー戦となった。次回、高天原温泉~湯俣温泉トレッキング(後編)をお送りします。   では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。

※このトレッキングはしっかりとした登山装備が必要です。かなりのロングコースなのでそれなりの脚力が必要です。登山経験の浅い方にはおすすめできません。ここでのコースタイムは(私の)単独山行での時間です。コースタイムには個人差があるのであまり参考にしないでください。エスケープルートがないので天候悪化などを見込んで必ず予備日をとった計画をたててください。

 
 
 

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