温泉津温泉 外湯巡り(島根県)⑫
- きい
- 2015年10月6日
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温泉津温泉には2つの共同浴場があり前項で紹介した「元湯・泉薬湯」とすぐそばに「薬師湯」がある。半円形にでぇーんと飛び出た外観はレトロな洋館造りで昔の映画館をイメージさせる温泉津のシンボル的存在。 山陰で唯一「日本温泉協会」の審査で源泉、泉質などの分野で最高評価のオール5を取得した成績優秀のできるヤツ。

シンプルなタイル張りの湯殿のド真ん中に4・5人サイズの楕円形の浴槽が一つ。浴槽から床にかけて、でろーんとただれたような湯の析出物が層をなし、まるでプリンとカラメルソースが絡み合うような美味しそうなグラデーション生み出し、温泉好きとプリン好きには垂涎の光景が飛び込んでくる。湯は笹色がかった灰色で強烈な塩味のあとに鉄臭と炭酸味を感じる。はじめキリッと熱めだがすぐにしっくりとなじむ湯は、とろーんと重さを感じるような湯触り。この湯は明治5年の「浜田大地震」の折に湯柱を上げたので「震湯」、「ナマズ湯」とも呼ばれ浴槽の湯口はナマズがかたどられたものになっている。湯殿も施設内もキレイに清掃が行届いていてとても気持ちがいい

美味しそうな色の析出物。湯殿に風格をもたらす。しかしこれだけの析出物が付着するということは給 水・排水管にも付着し、詰まりの原因となり湯守の苦労に頭がさがります。
小浜温泉 才市の湯(こはまおんせん さいちのゆ)

温泉津駅から400mほどの場所。温泉街へ向かう途中にあるジモ専的共同浴場で観光客があまり来ない穴場の浴場。
共同浴場にしては広い湯殿で左壁から半楕円形の浴槽がせり出し天井が高く開放感がある。こちらの源泉は温泉津温泉のように高温泉ではなく、25℃と温度が低いため源泉を沸かしたものを利用。湯はうっすら「生八つ橋」のようなサンドカラー。炭酸、鉄分を含んだ食塩泉で沸かし湯だがしっかりと個性を残している。「元湯」や「薬師湯」よりもマイルドな湯触りで適温に加熱された湯はゆっくり長湯向き。何より込んでないのがいい。
こちらの浴場の名前の「才市の湯」とは温泉津出身の妙好人(浄土真宗の在家の篤信者)、浅原才市にちなんだもの。才市は「口あい」(くちあい)と呼ばれる信心を詠んだ多数の詩で知られ石見の才市と呼ばれたそうな。

才市の像は温泉街の元湯の前にある。なぜか角が生えている。これには諸説あるらしいが、才市自らが描いてもらった肖像画に角を描き加えたとされ、像にも角をつけて造ったとか。角の付いた人間を見たのはAC/DCのアンガスヤング以来だった。 では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。