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温泉津温泉 長命館(島根県)⑪

  • 執筆者の写真: きい
    きい
  • 2015年9月26日
  • 読了時間: 2分

温泉津と書いて(ゆのつ)と読む。温泉と港(=津)があるという名前の由来で温泉津温泉は石見銀山の外港として栄えた温泉のある港町。JR温泉津駅から徒歩20分、赤い石州瓦の切妻屋根の家屋が密集し10件ほどの宿が点在する小さな温泉街。むかしむかし老狸が湯に浸かり傷をいやしていたのを旅の僧侶が見つけたのが発祥と伝えられている。


発見されてから1300年の歴史を持ち現在でも薬効の高さから湯治客がたえることがない。その発見された湯は現在の温泉津の元湯であり共同浴場でもある。この「元湯・泉薬湯」(もとゆ・せんやくとう)の直営の宿が「長命館」さん。明治、大正時代の木造3階建ての佇まいはかなりの貫禄を醸し出し、館内の宿泊棟の3階分の木造のらせん階段には圧倒される。この宿には、内湯がないのでお向かいの「元湯・泉薬湯」へ下駄履きで出かけるという昔ながらの湯治宿のスタイルが湯情を引き立てる。


唐破風のひさしのついた粋な外観の元湯。透かし彫りの鳳凰の懸魚(げぎょ)が施され、さらにそのひさしの上には温泉津温泉の発祥となった狸のレリーフが鎮座。真下から見上げると狸のつぶらな瞳と目が合い思わず「胸キュン」状態に。窓が大きく取られた明るい湯殿に3層に区切られた山型にせり出した浴槽がある。もともとコンクリート造りの浴槽と思われるのだが温泉成分が固まってできた析出物が浴槽や床にこびりつき時代と共に積み重なってできた淡茶褐色の造形美がある。


浴槽は右から「熱い湯」、「ぬるめの湯」、「座り湯」に分けられていて右の「熱い湯」側に湯口があるため湯温が一番熱いのだがこれが悶絶級なのだ。約48℃ほどなのだがさらに湯が食塩泉なので一層、熱さが増して感じるので10秒と浸かっていられない。「ぬるめの湯」でも45℃と熱めだ。「座り湯」は腰をおろして浸かれるように湯底が浅くなっている。基本、湯が熱いため長く浸かっていられないので浴槽の外で腰をおろしてやすみやすみの湯浴みとなる。しかしこの湯殿は腰をおろして休む老人、目を閉じて湯に浸かる老人がとても絵になる。年輪を重ねた湯殿にはやはり年輪を重ねた人間がはまるのだろう。湯浴みをするたび先客と話が弾むウエルカム感のあるナイスな湯殿でした。

では皆さん、健康で素敵な湯巡りを。

 
 
 

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